子供の睡眠時間を確保せよ 家庭と学校が連携し日常的な指導を

本紙連載の「子供の眠りが危ない」において、雨晴クリニック副医院長で睡眠専門医の坪田聡氏が、質・量共に低下傾向にある子供の睡眠状況を解説し警鐘を鳴らしている。坪田氏が指摘しているように日本人は宵っ張りの傾向にあり、睡眠時間も外国と比較して短い。睡眠不足は仕事に支障を来したり、心身の不調を招いたりと、大人であっても軽視できないが、こと子供となると及ぼす影響はさらに深刻らしい。

子供は大人よりも長い睡眠時間を必要とし、十分な睡眠がとれていないと、成長ホルモンの分泌や脳の発達、運動能力にも関係してくるというから、これはもう一生に関わる問題である。保護者や学校はもっとこの事態を真剣に受け止めるべきだろう。

小中学校の教育ではどのように扱うことになっているのか。新学習指導要領によると、小学校では体育の3・4年の体育(保健)で「毎日を健康に過ごすには、運動、食事、休養及び睡眠の調和のとれた生活を続けること」だと理解させ、「自己の生活を見直すことを通して、健康によい1日の生活の仕方や生活環境を整えることについて実践する意欲をもてるようにすることも大切」だとしている。特別活動・学級活動では「基本的な生活習慣」や「心身ともに健康で安全な生活態度」の形成を促している。

中学校の保健体育では、生活習慣病の要因の一つに睡眠不足があることなどを「健康な生活と疾病の予防について、課題を発見し、その解決を目指した活動を通して」学習する。特別活動・学級活動においては「心身ともに健康で安全な生活態度」の形成に加え、そうした生活態度を習慣付けるよう記載されている。

こうして見ると、小学校、中学校共に、問題解決的な学習を重視していることが分かる。子供の睡眠不足を誘発するゲームやスマートフォンが生活の一部となっている今日、求められるのはより踏み込んだ、実効性の高い指導である。

近年注目されているのが「眠育」である。堺市では、中学校で生徒指導主事を務めていた教員が不登校対策として始めた「眠育」の実践研究を端緒に、市内の小中学校にも取り組みが広がった。睡眠に関する基礎知識を分かりやすく伝える授業の実施や、生徒に睡眠時間を毎日記録させ、問題がある生徒には個別指導をするといった取り組みを通じて、欠席の多かった生徒の出席率が上がるなどの効果があったという。現在は地域全体でも推進の動きが出てきている。

新潟県三条市でもモデル地区の保育所・こども園や小中学校を対象に、睡眠調査票の記録を基に本人と保護者、教員による評価を行い、子供たちの睡眠改善を図っている。こうした活動はまだ一部の地域や学校にとどまってはいるが、活動の輪が広がり、効果が具体的に立証されるようになれば、社会全体の意識も少しずつ変わってくるはずだ。

睡眠は学校で扱う場面や時数が少なく、また運動・スポーツの教育や食育に比べ、家庭内の事として見落としがちな課題でもある。しかし、生活・学習態度に大きく影響する睡眠の重要性について、日常的な指導を継続してほしい。授業で意図的・計画的・組織的に指導することはもちろん、保護者会などで取り上げ家庭での取り組みを啓発する必要もある。学校でいくら指導しても、子供にとって一番身近な存在である保護者が範を示さなければ効果は見込めないからだ。家庭と学校が連携し、子供たちの心身の基盤をつくる睡眠を確保するよう努めたい。

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