成績を伸ばすために必要なこと OECD報告書と箕面市調査との符合

OECD(経済協力開発機構)が10月23日に発表した報告書「教育における公平性:障壁を壊して社会的流動性を獲得する(Equity in Education: Breaking down barriers to social mobility)」は、恵まれた子供と恵まれない子供との成績の差が10歳の頃から始まり、学生生活を通じて拡大することを明らかにした。

報告書は「学校の質と生徒の成績との相関」について示しており、社会経済的に恵まれた学校に通う生徒の方がPISAでよい成績を上げているとしている。特にその傾向が顕著なベルギー、ブルガリア、フランスなどの国では、学校の質の違いによって生徒の科学の点数に130点もの差が生じているという。

一方、幸福(ウェル=ビーイング)が成績に及ぼす影響についても考察している。OECD諸国全体で、恵まれない生徒の約4人に1人が自分の生活に満足し、学校生活に馴染(なじ)み、テスト不安に悩むことなく、より良い成績を上げる傾向がある。クロアチアやチェコ、フィンランドなどの国ではこうした生徒の割合が30%以上を占めるという。

子供の学力を巡る、いわゆる「10歳の壁」の存在の裏付けや、恵まれた環境下になくても成績を上げる子供たちについて言及した本報告書に、とある別の調査リポートが思い浮かんだ。昨年11月、日本財団が発表した「家庭の経済格差と子どもの認知能力・非認知能力格差の関係分析」である。大阪府箕面市の就学児童2万5千人分のビッグデータを活用し、家庭の経済状態と子供の学力との関係性を分析している。

同リポートによると、貧困世帯の子供は小学校低学年時から相対的に学力が低く、小学4年生ごろに非貧困世帯の子供と大きく差が開いた。ここでも小学4年生――つまり、10歳がターニングポイントとなっている。貧困世帯の子供は学年が上がるにつれ低学力層へと集中していく傾向にあり、貧困状態や低学力層から脱することが難しくなっていく。また、貧困下にあっても学力が高い子供には、生活習慣や学習習慣、思いを伝える力などの非認知能力が低学年時から高水準に備わっていることが分かった。

対象も規模も全く異なる調査を並べて論ずるようなことは控えたいが、二つの調査結果は今後のあるべき教育の方向性を示唆しているといえるだろう。第一には、恵まれない環境にある子供たちにはできるだけ早い時期から支援する必要があるということ。教育上のハンディを自助努力によって払拭(ふっしょく)することは容易ではない。アンドレアス・シュライヒャーOECD教育スキル局長は「社会的流動性の障壁を壊し、全ての子供に成功のための公平な機会を与える取り組みにはほとんど進展が見られない。恵まれない生徒の成績を上げるために、教師の役割が重要だという認識を含め、より多くの投資が必要である」と述べている。

そして、10歳以降の学力は、それまでに積み上げた基本的な生活習慣や成功体験によるところが大きいということ。OECD報告書では、「社会的、情緒的に充実していると答えた恵まれない生徒は、より良い成績を上げる傾向がある。これは、恵まれない生徒が自分自身と彼らが受ける教育に対して肯定的な態度と行動を育めるように助けることで、彼らの教育的発展をも高めることができることを意味している」と解説している。

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