長期休業中の「総合」を授業に 柔軟な運用の可否がカギ

中教審教育課程部会は10月1日、「総合的な学習の時間」の在り方に関する方針を示した。注目すべきは、土日や長期休業中の学校外の学習を、各学校の判断により、年間授業時数の4分の1程度まで授業として位置付けることができるという内容である。年内をめどに通知を出し、早ければ来年度から実施できるようになるという。各小中学校はどう受け止めているだろうか。

これまでの「総合」は、地域調査や職場体験など、平日の通常授業時間の中で学校外の学習も行われてきたが、ほとんどは教師の直接的指導の下、教室で行われることが多かった。土日や夏休み期間の校外学習も授業として認めることにより、商店街や街の安全マップを題材としたより実践的な学習や、図書館や博物館、公民館を活用した調べ学習が展開しやすくなる。児童生徒の多様な課題に応じた探究の機会の充実を図ると同時に、教育課程を弾力的に運用することによって、学校現場での教員の勤務実態を改善する狙いもある。

文科省は「指導計画上の位置づけ(目標、内容、学習活動、指導方法・体制、学習の評価)が明確であって、家庭・地域との連携の取組が充実している」ことを条件に、学校外の学習を授業として認める意向を示している。

いくつかの疑問がある。第一に、この方針が中教審教育課程部会の審議から生じたものではなく、文科省から降って湧いたように出された点である。背景には、授業時数の確保に汲々(きゅうきゅう)とする学校現場への配慮があるのだろう。だとしても、突然の方針転換はかえって学校現場に混乱を招きかねない。「4分の1」の根拠もはっきりしない。移行措置の英語の時数確保と同様の策か。総合的な学習の時間を軽視しているともとれる。

第二に、実施が予想される夏休み期間は、水泳指導や部活動を中止にするほどの今夏の異常な暑さを鑑みると、学習活動には危険が伴うといわざるを得ない。年末年始にかかる冬休みは家庭・地域ともに多忙な期間である。春休み中は年間授業が終了しており、また教員の異動や年度末・年度始めの職務多忙な時期である。果たして思惑通り実施できるのだろうか。

第三に、休業日の土曜・日曜についてはこれまでも多くの学校で総合の授業が行われている。教師と児童生徒、家庭や地域の負担を考慮すると、現状を超える取り組みは難しいのではないか。土曜・日曜の本来の意義は何なのか。

第四に、夏休み期間の教員は研修やプール指導、補習指導などがあり、授業として行う学習活動への指導体制を組むことは難しい。学校閉庁日の設定など、教員が夏休み期間中にまとまった休みを取りやすくする取り組みに水を差すことになりはしないか。「学校の働き方改革等につながる」というが、どのようにつながるのか不明確である。

一方で、高度化・複雑化する課題を抱え、時数増が難しい学校現場においては現実的な解決策であることも確かだ。同方針を実のあるものにするためには、いかに「弾力的に」教育課程を編成できるかにかかっている。文科省は各学校が実態に即した柔軟な運用ができるよう、運用条件をさらに練り直す必要があるだろう。

その上で、各学校は総合的な学習の時間の趣旨をいま一度確認し、指導計画をカリキュラム・マネジメントの三つの側面から十分に吟味して、慎重に取り組みを進めてもらいたい。

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