いじめ・不登校の発生数増加 根源的な理由や背景を探れ

文科省が10月25日に公表した2017年度「問題行動調査」では、暴力行為、いじめ、不登校などいずれも数値の増加がみられた。中でもいじめの認知件数の急増は目につくが、それぞれの詳しい状況を確認しておく。

暴力行為の発生件数(小・中・高校)は6万3325件で、前年度より3881件増加。児童生徒1千人当たりの発生件数は4.8人となっており、前年度より0.4人増加している。気になるのは小学生が校内で起こす暴力行為の急増ぶりだ。中学校、高校が減少傾向にあるのに対して、小学校は15年度以降年5千件ペースで増えており、17年度は2万6864件でほぼ中学校の件数(2万7389件)に並んだ。

いじめの認知件数(小・中・高校・特別支援学校)は過去最多の41万4378件で、前年度より9万1235件の増加となった。児童生徒1千人当たりの認知件数は30.9人と、前年度より7.1人増。早い段階でいじめの芽を摘もうと、軽微なからかいも含めるよう促したことが大幅増につながったとみられる。一方で重大事態の発生件数は474件であり、前年度より78件増加している。

長期欠席者(小・中)は21万7040人で、前年度より1万747人増加した。このうち、不登校児童生徒数は14万4031人で前年度より1万348人増加。不登校児童生徒の割合は1.5%で、前年度より0.2%増加している。不登校の状態が前年度から継続している児童生徒の割合は小学校で48.8%、中学校で58.4%と、不登校生徒の約半数が1年以上の長期であった。この「継続数」と「新規数」(前年度は不登校ではなかった児童生徒の数)に着目した国立教育政策研究所の報告がある。中学校の継続数を見ると、学年を追うにつれ不登校の状態が解消されていることが分かる。つまり、不登校が長期化する生徒が存在する一方で、学校の努力などによって再び教室に戻ることができた生徒も少なからずいるということである。にもかかわらず不登校児童生徒が増え続けるのは、新規の不登校数がそれを上回っているから、という内容だ。

いじめについても同様ではないか。いじめには標的が変わるだけで延々と繰り返されたり、いじめていた子供がいじめられる側に転じたりするケースもある。一つのいじめがなくなったとしても、新たないじめが発生すればいつまでたってもなくならない。いじめ対策について、文科省は「いじめ対策に係わる事例集」を作成し、教委や学校に活用するよう促している。いじめの防止・早期発見、対処の点で優れている事例や、教訓となるような事例を取り上げたものであるが、学校は効果的に活用できているだろうか。もっと言えば、こうした事例を元に研修や話し合いをする余裕が各学校にあるだろうか。学校としての対策を立てられなければ対応は場当たり的になり、後手に回ることになる。

なぜいじめをするのか、暴力を振るうのか、学校に来られないのか。その原因や背景を研究として掘り下げ明らかにしない限り、問題行動や課題は解決しない。かつて、いじめについて全国連合小学校長会は「社会病理」として国を挙げて取り組むべきだと主張した。学校・教師だけではなく、家庭や社会の在り方と深く関わる問題であり、単に数値目標を掲げて達成し得るものではないと提言している。今回の問題行動調査についても、学校現場は公表された数値をマクロな傾向として捉え、その根源を追究すべきである。

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