いじめ防止はなぜ後手に 全校体制に向け学校経営の点検を

今年も残すところ1カ月余りとなり、1年を振り返る季節がやってきた。教育界では今年もいじめによる子供の自殺が後を絶たず、やりきれない思いが残る。

8月、東京・八王子市の中学2年の女子生徒が電車に飛び込み、翌月死亡した。部活動を巡るトラブルからいじめに発展、生徒は不登校となり、その後転校したものの不登校は続き、ついには自殺に及んだ。第三者委による調査はこれからだが、市教委はいじめがあったと認めている。

昨年は埼玉・川口市の中学3年の男子中学生がいじめを苦に3度目の自殺を図り、結果車いす生活を余儀なくされた事案があった。2016年8月に青森市の中学2年の女子生徒が、加害者の実名を挙げた遺書を残し自殺した事案も記憶に新しい。

これらの事案には共通点がある。いじめが始まった時期から被害者や保護者が学校に相談している点、学校が重大事態と認めず十分な対応をしていない点だ。

文科省が10月に公表した17年度の問題行動調査結果のうち、いじめの認知件数は小・中学校共に過去最高だった。特に小学校の件数は30万件を超え、2年前の倍である。低学年によくあるけんかやふざけもカウントしている影響があるとみられるが、年齢層が低くてもいじめの態様が軽度であっても、放置すれば将来重大事態に発展する可能性は否定できない。
重要なのは、カウントした案件にどう対応したかだ。

前述した過去のいじめ自殺事案はいずれも中学校で起きているが、初期段階はどうだったのか、そのとき学校はどのように対応したのか、これまで重大事態に至った事案の調査結果を整理・分析する必要があろう。

悲劇を繰り返さないためにも、当該の学校関係者だけではなく国の研究機関などでも分析し、結果を全国の教育関係者に周知して、共通理解を図りたい。

国立教育政策研究所や各教育委員会が発行する報告書では、いじめ防止に成功している学校や自治体の例、冒頭の失敗事例と対照的な学校の取り組みを見ることができる。いずれも年に数回定点調査を行い、その報告件数・内容を比較検討し、いじめなのか一過性のけんか・ふざけなのか、経過観察も交えながら分析している。そして分析結果を元に、それぞれのケースに適合した対応を取っている。

同時に、いじめの原因の一つでもある人間関係のトラブルを防ぐために、道徳の授業やアサーション・トレーニングの指導も全校体制で計画的に行っている。

児童生徒や保護者対象の教育相談も、在校生全員対象のものと希望者対象のものに分け定期的に行い、調査結果との整合性を図ることも怠っていない。研究授業や事例研究など校内外の教員研修も並行して行っている。常に全教職員が全校生徒と向き合い、いじめ実態の把握とともに自身の指導力量を高めている姿が浮かび上がる。

いじめが発生しにくい学校とは、生徒や保護者の安心感・信頼感を得る取り組みを行っている学校だ。初めからいじめのない学校など存在しない。発生する原因・土壌を徹底的に追究しているか、生徒が本音で教師に話せる関係を構築しているか、いじめ発生の情報を学校が入手した際、迅速に全校体制で動ける体制づくりを普段から行っているか。

この1年の締めくくりを迎える前に、改めて自身の学校経営を振り返る必要があるだろう。

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