主体的・対話的で深い学びの実現 一連の学習活動の見直しから

今次の学習指導要領の改訂で授業改善の中心に置かれるのは、言うまでもなく主体的・対話的で深い学び(以下「学び」)の実現である。

各学校では、学びをどう捉え、授業改善を進めればよいか模索している。併せて、カリキュラム・マネジメントや新しい時代に必要な資質・能力を身に付ける学習指導の在り方、プログラミング学習の取り組みなども差し迫った課題である。

学びについては関係図書も多く刊行されており参照できるが、現時点で確かな根拠になるのは学習指導要領と解説に記載されている内容である。これらはさまざまな観点から複数の事柄を関連付けながら広範囲に説明しているため、学びの輪郭を明確に捉えにくい印象がある。

学習指導要領の総則には、学力の三要素や各教科等の「見方・考え方」を働かせることと、学びとの関連について触れている。指導計画の作成に当たっては、「単元など内容や時間のまとまりを見通し」ながら、学びの実現を図るよう促している。

解説の総則編には、中教審答申に示された授業改善の三つの視点が挙げられている。これらは従前の取り組みを、主体的、対話的、深い学びに沿って整理したものである。ただ、その内容は要素を羅列したにすぎず、授業改善に当たって学習上の意味が分かりにくいという課題がある。

例えば、主体的な学びの視点を「学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しをもって粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる」としているが、「キャリア形成」以外はこれまでも指摘されてきたことであり、果たしてどのような意味で授業の改善につながるのか不明瞭だ。

対話的な学びの視点は「子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める」としている。「主体的―」と同様の捉え方をすれば、重要なのは「自己の考えを広げ深める」点にあると考えられる。

深い学びの視点は「習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた『見方・考え方』を働かせながら……」とあり、基本的な考え方は示しているものの、実際の授業構成とはかなりの距離がある。

一方、「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」という表現は、「実現」という言葉を用いることによって学び自体が実現目標として捉えられかねないという課題も指摘できる。

今後は各教科の指導計画の作成や授業構成の在り方が実践課題となる。学びの内実を突き詰めていくアプローチも考えられるが、指導に当たっての配慮事項やこれまでの学習指導を見直す際、総則や解説の記載内容を用いるアプローチが有効である。例えば、解説総則編にも記載されている「言語活動の充実」や「学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動」「児童が自ら学習課題や学習活動を選択する機会を設ける」などを指導計画に生かしていく。

また、これまでも実践されてきた疑問の深化と課題の設定、めあての設定と課題の追究、比較、吟味、検証、話し合い、表現や発表といった一連の学習活動を見直すことにより、主体的・対話的で深い学びの姿が明確になっていくと考える。