働き方改革の答申骨子案 教員の自助努力に頼る風潮を止めよう

昨年6月に急性心筋梗塞の疑いで死亡した大分県佐伯市の中学校教諭(当時50)の死因が過労によるものだったとして、11月30日、遺族が公務災害の認定を申請したニュースが報じられた(12月3日、西日本新聞)。

教諭は学年主任や女子バレーボール部の顧問も務め、平日は午前7時ごろに出勤、午後9時以降に退勤する日々だったという。亡くなる直前3カ月の時間外労働は月平均175時間で、新年度がスタートした4月1日からは35日間連続で勤務していたことも確認された。

こうした事案をもう何度見ただろう。しかし、そもそも学校現場には残業代が出ない教員の時間外労働を正確に管理する習慣がなく、報道された事案はあくまで氷山の一角とみる向きもある。加えて、過労死予備軍となればその数は数十倍にも膨れ上がるだろう。死と隣り合わせの状況で仕事をせざるを得ない状況は、やはり異常事態である。

改革待ったなしのいま、中教審の「学校における働き方特別部会」が大詰めを迎えている。11月13日の特別部会で示した働き方改革の答申骨子案は、▽勤務時間の管理・縮減に向けた制度▽業務の明確化・適正化▽学校の組織運営体制整備――などが盛り込まれたが、答申に向けてもっとも注目されるのは「給特法の今後の在り方」と「変形労働時間制」であろう。

教育学者らと現職教員・斉藤ひでみ氏(仮名)で組織する「学校の働き方を考える教育学者の会」は緊急提言として、今後の審議における▽給特法の見直し▽年単位の変形労働時間制の導入見送り▽教員定数の増加――の検討を中教審に申し入れた。

「給特法」においては、時間外労働を教員の「自発的な業務」とみなすことで、労基法や労安法を順守していない勤務状況が看過されている実態がある。法の抜本的改正なくして働き方改革は進まない、という考えだ。そして変形労働時間制は、年中繁忙期といってよい教員にとって、労働時間の縮減につながらないとする見方である。

極論すれば教員の働き方は、人材と財源を確保しない限り改善しない。新たな教育課題が山積する現在の教育現場で、教員定数に比して担わなければならない業務が多すぎるからだ。だが、確保できないがために余剰分は教員の「自発的業務」にすり替えてきた経緯がある。このパラドックスを止めるには法改正しか手だてはないだろう。

変形労働時間制も苦し紛れの策という感が否めない。夏休みを閑散期とみるのは現場感覚からの乖離(かいり)と指摘されても仕方がない。導入するのであれば、夏休み期間中の部活動中止なども検討する必要がある。人材も財源も不足しているのであれば、思い切った業務削減も選択肢に入れるべきではないか。

これまで国をはじめ、地域も保護者もあらゆることを学校や教員の自助努力に頼ってきた。その結果個々の業務は肥大し、教員は逃げ道のない状態に追い詰められている。しかし、もう限界だ。今回の骨子案には「教職員一人一人の働き方に関する意識改革」という項目もあるが、働き方は自助努力だけではどうにもならない。

学校や教員にしわ寄せしてきた負担を取り除くために何ができるか。これ以上不幸な事案を生まないようにするために、教職を志す学生のためにも、いま、全てのステークホルダーの「本気」が問われている。