大学入学共通テストと高校の授業 義務教育の成果をさらに発展させるために

2020年度からの「大学入学共通テスト」(以下「共通テスト」)の実施に向け11月に行われた試行調査(プレテスト)では、昨年度実施した試行調査の結果を踏まえ作成された問題が出題されたほか、本番の試験実施の体制や運営も含めた総合的な検証を行う目的で、現在使用している全国各地の大学を会場とした。

そもそも今回の入試改革は、新学習指導要領が「自らの人生や社会の在り方を見据えてどのような力を主体的に育むか」など、未来社会を自ら切り開いていく資質・能力の育成を目指しているのに対し、高校が大学入学者選抜に向けた対策を学習の動機付けとしている現状に問題提起したことから始まっている。

中教審の答申でも指摘されたが、具体的には現在の大学入学者選抜が知識の暗記・再生や暗記した解法パターンの適用の評価に偏りがちである実態を受け、高校教育が小中学校に比べ知識伝達型の授業にとどまりがちで、卒業後の学習や社会生活に必要な力の育成につながっていないというものだ。

共通テストの導入は、大学入試選抜制度に改革のメスを入れることで高校教育の授業改善を図り、義務教育までの成果を確実につなぎ、子供一人一人に育まれた力をさらに発展・向上させたいという国の強い意志が感じられる。

その共通テストだが、試行調査の内容からある程度の傾向を見ることができる。

暗記科目として指摘されることの多い日本史Bの問題を例にとると、学校における生徒の主体的・対話的な学習を想定した問題文が半分以上あり、使用されている写真や絵画資料には教科書に掲載されていないものもある。

これらは、実際に言語活動や主体的・対話的で深い学びの授業が行われている学校の生徒にとっては解答しやすい設問となるのではないか。

さらに問題全般を通して感じたのは、日本史で求められる地図や統計資料を読み取る力の必要性とともに、国語の読解力がなければ誤答を誘導しやすい問題が目立つということだ。

例えば、江戸時代の文献資料に関する説明を正しく現代文で述べているものを選ぶ問題があるが、使用する文献資料が教科書に掲載されていないため、じっくりと読んだ上で既有の知識と関連させながら正答を導き出す作業が必要になる。まさに「知識の暗記・再生や暗記した解法パターン」では解けない問題である。

読解力で思い出すのは、昨年、国立情報学研究所の新井紀子教授のグループが発表した全国の中高生を対象とした「リーディングスキルテスト」(RST)の結果とその分析である。それによれば、文章の基本的構造を理解できていない中高生が多くいるという実態が判明。読解力の不足が今後の社会生活に与える影響に懸念を示したものである。

新井教授は、ある教育雑誌のインタビューで、子供たちの読解力不足の原因の一つとして学校の「穴埋め型学習」や「蛍光ペン型学習」をあげている。そして、「基本の読みとか論理的推論ができない子はいくら知識を教えてもそれを整合的に使えない」とまで述べている。

「主体的・対話的で深い学び」を実現する授業改善の促進。高校にとっては待ったなしの学校改革であり、それは子供たちを送り出す小中学校の願いでもあることを忘れないでもらいたい。

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