現在の学校教育制度は、教育課程の編成と実施による知育・徳育・体育を通じて、児童生徒の人間としての成長と社会的自立に向けた資質・能力の育成を担ってきた。教育課程は学校段階・学年を前提に、各教科等に分けて編成され、一定の授業時数の中でそれぞれの目標実現に向けた取り組みが行われている。学習の成果は各教科等やその他の学習評価として把握され、また、進級・進学というステップを経て児童生徒は育っていく仕組みがとられている。  このような学校教育システムは明治以降の近代化の中で形作られ、時代や社会の発展に寄与してきた。第2次世界大戦後の日本の高度経済成長は、さまざまな社会経済的要因とともに学校教育の成果としても捉えることができる。その結果、昔に比べると便利で相対的に豊かな社会の中で国民が生活できる環境となっている。  一方、21世紀に入って以降、日本はこれまで経験したことのない変化の中にある。……

今年の夏は、例年にない天候になりそうだ。関東地方における6月中の梅雨明け、西日本における集中豪雨、連日の猛暑日・真夏日など、7月の時点で気象観測上、記録に残るような状況となっている。それに伴い子供の事故が多く報告されている。各学校は夏休み中の子供の健康安全に関する対策に十分配慮する必要があるだろう。 とりわけ、夏休み中も学校の管理下にある部活動は要注意だ。通常は適度の休憩と水分補給を怠らなければ大きな事故に発展しないが、今年の夏の気候は予想をはるかに上回り、これまでの常識を超える状況が発生する可能性が高い。熱中症は過去に多くの死亡事故例があり、学校は、その予防に最善の対策を講じるべきである。 日本スポーツ振興センター(JSC)によると、1990年から2012年にかけての熱中症による死亡事故件数は80件あり、その大部分は7~8月の中・高等学校における運動部活動中で発生している。……

2030年をめどに、新時代を担うために必要な資質・能力を育成する新教育課程の編成が進んでいる。若手教師は積極的に参画し、必要なことをしっかりと学んでほしい。分からないところはどんどん聞き、問いを立て、主体的に学んでほしい。若手教師はこれからの日本を担う子供を育てる役割を課せられているだけでなく、自身が日本の未来を創る担い手でもあるからだ。日本の未来は若手教師にかかっているといっても過言ではない。 教育課程改訂期だからこそ、「教育課程編成」の意義は何か、「社会に開かれた教育課程」とはどのようなものか、新教育課程で育む「生きる力」とは何か、その要素としての「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」の今日的意義は何か。その具体的な力としての「資質・能力の三つの柱」とはどのような力なのか、資質・能力の三つの柱をバランスよく育むための「主体的・対話的で深い学び」とはどのような学びなのか、学びを深めていくための「カリキュラム・マネジメント」とはどのようなことをするのか――など、学んでほしいことは多い。 今、この機会にこれらをしっかりと学ぶことは、これからの時代を生きる教育の専門職、プロとしての教師の基盤を築くことになる。……

学び続ける教員をいかに育てるか――。現在、教育界が抱えている大きな課題の一つである。 その特集号がベネッセ教育総合研究所発行の冊子『VIEW21教育委員会版』に掲載されている。 その内容構成は、玉川大学学長で、中教審委員を務めた経験のある小原芳明氏、東京都八王子市教育委員会委員の大橋明氏による対談と、これに関連する三つの事例紹介からなる。……

 世界保健機構(WHO)は6月18日、スマートフォンなどでのゲームにのめりこみ日常生活に支障をきたしたり自身の健康を損なったりする、いわゆる「ゲーム依存症」を「ゲーム障害」としてIDC(国際疾病分類)の最終案に明記した。「ゲーム障害」とは、「ゲームをしたい欲求を抑えられない」「ゲームをすることを他の日常生活の活動よりも優先してしまう」「家族関係、仕事、学習などに重大な問題が生じてもゲームをやめられない」といった症状が12カ月以上続く状態を指す。  わが国でもこの問題は以前から指摘されていた。この分野の研究に詳しい独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター院長の樋口進氏によれば、ゲーム依存症と診断された人間の大部分がインターネットゲームをきっかけとしており、2012年の厚生労働省の調査では「インターネット依存」の中高生は約51万8千人(全体の約8%)と報告。「ゲーム障害」の危険性がある中高生の数は、スマートフォンの普及を考慮するとさらに増えているものと推測される。  樋口氏はさらに、ゲーム依存の人間とギャンブル依存やアルコール依存の人間の症状および脳内の反応パターン・経過が酷似していると指摘。……

 10年に一度の教育課程改訂期、学校は二重の教育活動が求められる。  一つは現教育課程の実施であり、着実かつ円滑に進めなくてはならない。  もう一つは移行措置に取り組みながら行う新教育課程の編成である。……

 文科省が6月27日に開いた第6回全国的な学力調査に関する専門家会議の議事で、注目すべき報告があった。同省の委託で、お茶の水女子大学が実施した保護者に対する調査結果(2017年度全国学力・学習調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究)で、活用次第では、学力向上策に大きな影響を及ぼすだろう。  この調査研究は、▽2017年度全国学力・学習調査の追加調査として実施した「保護者に対する調査」の結果を活用し、家庭の社会経済的背景(SES)と学力の関係、13年度調査からの変動、学力に影響を与える学校・家庭・地域の取り組みなど、多様な観点から統計的に分析▽事例分析として、学校が置かれている社会経済的背景(SES)に比して、継続的に高い学力成果を上げている学校および成果を上げつつある学校の特徴も分析――という内容。  保護者に対する調査は、公立学校で本体調査を実施した児童生徒の保護者が対象で、有効回答数は小学校5万5167人(回答率91.7%)、中学校は6万7309人(同86.9%)だった。……

小・中・高等学校学習指導要領が告示され、2020年代は新学習指導要領の趣旨を踏まえた授業が展開される。主体的・対話的で深い学びの実現を目指した不断の授業改善や、見方・考え方を働かせる授業の展開と評価が求められる。改訂の趣旨を生かし、未来に向け児童生徒を育成する最後のよりどころは教師の専門的力量といえる。 改訂の趣旨をどのように教育実践に具体化するかは、その時々の教育の課題であり、教育実践自体にはいつの時代でも変わらない教職の専門性がある。新課程対応の教員研修は全国で展開されるが、教員としての専門性の向上はその基盤になるものである。 教師の教育的専門性はさまざまに定義できるが、最も簡潔に表現すると、児童生徒の特質や実態を踏まえ、教育目標を適切な教材と方法を組み合わせて実現していく点にある。……

2016年に兵庫県神戸市垂水区において、市内の中学校3年生だった女子生徒が自殺した問題で、神戸市教委の首席指導主事らが同級生らへの聞き取り調査のメモがあったにもかかわらず、当時の校長にメモの存在の隠蔽(いんぺい)を指示していたことが分かった。メモの存在について当時の雪村教育長には報告されていたが、雪村氏はこの4月に新たに就任した長田教育長には引き継ぎをしなかった。 神戸市といえば、1995年の阪神淡路大震災、97年の神戸児童連続殺傷事件を契機に、98年から多感な中学生への「心の教育」として中学校2年生による職場体験学習「トライやる・ウィーク」を現在まで積極的に推し進めてきた自治体である。全国から注目された同事業は視察団も多く訪れ、神戸市は受け入れ先として中核的な存在であった。当時の同市教委が作成した資料には、体験した生徒の感想文や、受け入れた事業所、生徒の保護者からの感謝の言葉が多数掲載されており、まさに子供の教育と市の復興を地域と学校、家庭が一体となって行っている情熱が感じられた。それがこの体たらくである。 教育委員会の隠蔽事案は数多く起きている。よく知られるのが、11年に滋賀県大津市で起きたいじめによる中学生の自殺である。市教委がいじめに関する調査結果等を市長に報告せず、市長から「教委には隠蔽体質がある」と糾弾され、これを受け国が「いじめ防止対策推進法」の策定、教委制度の改革を行う事態となった。 危機管理に怠慢で大きな事故を起こしやすい組織の特徴は、(1)「大したことにならないだろう」「よくあること」といった職場全体の危機意識の欠落(2)管理職の自己保身意識と部門内処理の横行(3)「何を言っても無駄」など問題を指摘しにくい職場風土――の3点だ。……

「まさか、こんなことは起きるまいと思った時、その『まさか』が起きる。安全管理に完全はない。想像力を持ち、訓練を通して常に見直して行かねばならない」 これは、2001年に発生した大阪教育大学付属池田小学校殺傷事件当時の副校長・矢野克巳氏が、今年3月の退職時に新聞取材に応じたものである(読売新聞、3月31日付)。多くの児童、教師が犠牲になった前代未聞の痛ましい事件であった。それからはや17年。当時、事件直後の混乱した校内の様子が繰り返し報道され、「何が起きたのか」という驚きを持って見ていたことが脳裏に鮮明に残っている。事件から学ぶべきことは伝わっているだろうか。 矢野氏が語った中からいくつかを拾ってみる(一部要約)。……

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