極度の貧困から最後の子供の1人が抜け出すのは2482年。国連の目標からは452年も遅れる――。子供支援を行う国際NGOのセーブ・ザ・チルドレンが、そんな試算を発表した。日本でいえばこの年月は、室町末から現代までに相当する。

国立教育政策研究所は「幼児教育の質の向上を支える研究と研修の在り方を考える」をテーマにした公開シンポジウムを1月16日、文科省で開いた。同研究所内への幼児教育研究センター新設を記念し、東京大学大学院教育学研究科の秋田喜代美教授などが講演。幼児教育の歴史をたどりながら、今後の同教育研究や研修についての展望などを議論した。

さいたま市は、市内の多様な人々が目を注ぎ、児童生徒の安全を見守る状況を促進しようと、地域の学校安全ネットワークボランティアや教職員を対象にした研修会を1月12日、同市の浦和コミュニティセンターで開いた。NPO法人地域安全マップ協会の内野真理事長などが講演。犯罪回避のポイントとなる「景色解読力を育てよう」などと訴えた。

悩みを抱え込まないで、一緒に子育てを――。東京都荒川区にあるおぐぎんざおもちゃ図書館子育て交流サロンは、地域に住む赤ちゃんや乳幼児と保護者同士が交流し、子育ての悩みや喜びを共有できる場所である。月に1回行われるイベントでは、たくさんの親子の笑顔であふれる空間に。1月11日には、カレンダー作りを行った。子供と保護者の写真を載せた、半年間の記念カレンダーである。

国立成育医療研究センターはこのほど、生後6カ月から固ゆで卵を少量ずつ与えると、鶏卵アレルギーを8割予防できるのを実証した。

ブラジル音楽の至宝エルメート・パスコアルの愛弟子であるイチベレ・ズワルギさんが1月10日、「こどものためのイチベレ・ワークショップ(WS)」を都内で開催した。小学生や就学前の子供が参加し、さまざまな楽器で演奏を楽しんだ。イチベレさんは「楽器が一番のおもちゃ。演奏に間違いはない。自然なままに音楽を楽しもう」と言葉を掛けた。

厚労省の社会保障審議会児童部会保育専門委員会(委員長・汐見稔幸白梅学園大学学長)はこのほど、保育所保育指針改定に関する議論のとりまとめを発表した。改定の方向性として、(1)乳児・1歳以上3歳未満児の保育に関する記載の充実(2)保育所保育における幼児教育の積極的な位置づけ(3)子どもの育ちをめぐる環境の変化を踏まえた健康及び安全の記載の見直し(4)保護者・家庭及び地域と連携した子育て支援の必要性(5)職員の資質・専門性の向上――を示した。

中教審総会の終了後、北山禎介会長が、答申や高大接続などについて、教育新聞など報道陣からの質問に答えた。

次期学習指導要領に向けた「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」(答申(案))が12月16日、中教審初等中等教育分科会で示された。概要の全文を掲載する。 第1部 学習指導要領等改訂の基本的な方向性 第1章 これまでの学習指導要領等改訂の経緯と子供たちの現状 (前回改訂までの経緯) ・これまで学習指導要領等は、時代の変化や子供たちの状況、社会の要請等を踏まえ、おおよそ10年ごとに、数次にわたり改訂されてきた。 ・平成20年に行われた前回改訂は、教育基本法の改正により明確になった教育の目的や目標を踏まえ、知識基盤社会でますます重要になる子供たちの「生きる力」をバランス良く育んでいく観点から見直しが行われた。 特に学力については、「ゆとり」か「詰め込み」かの二項対立を乗り越え、基礎的な知識及び技能、思考力、判断力、表現力等及び主体的に学習に取り組む態度という学力の三要素のバランスのとれた育成が重視されることとなった。教育目標や内容が見直されるとともに、習得・活用・探究という学びの過程の中で、言語活動や体験活動等を重視することとされ、そのために必要な授業時数も確保されることとなった。 (子供たちの現状と課題) ・子供たちの学力については、国内外の学力調査の結果によれば近年改善傾向にある。子供たちの9割以上が学校生活を楽しいと感じ、保護者の8割は総合的に見て学校に満足している。こうした現状は、各学校において、学習指導要領等に基づく真摯な取組が重ねられてきたことの成果と考えられる。 ・一方で、判断の根拠や理由を明確に示しながら自分の考えを述べることなどについては課題が指摘されている。学ぶことの楽しさや意義が実感できているかどうか、自分の判断や行動がよりよい社会づくりにつながるという意識を持てているかどうかという点では、肯定的な回答が国際的に見て相対的に低いことなども指摘されている。学ぶことと自分の人生や社会とのつながりを実感しながら、自らの能力を引き出し、学習したことを生活や社会の中の課題解決に生かしていくという面には課題がある。 また、情報化の進展に伴い、子供を取り巻く情報環境が変化する中で、視覚的な情報と言葉との結びつきが希薄になり、知覚した情報の意味を吟味したり、文章の構成や内容を的確に捉えたりしながら読み解くことが少なくなっていること、教科書の文章を読み解けていないとの調査結果があることなど、読解力に関する課題等も指摘されている。 ・豊かな心や人間性を育んでいく観点からは、子供たちが様々な体験活動を通じて、生命の有限性や自然の大切さ、自分の価値を認識しつつ他者と協働することの重要性などを、実感し理解できるようにする機会や、文化芸術を体験して感性を高めたりする機会が限られているとの指摘もある。 平成27年3月に行われた道徳教育に関する学習指導要領一部改正に当たっては、多様な人々と互いを尊重し合いながら協働し、社会を形作っていく上で共通に求められるルールやマナーを学び、規範意識などを育むとともに、人としてよりよく生きる上で大切なものとは何か、自分はどのように生きるべきかなどについて考えを深め、自らの生き方を育んでいくことなどの重要性が指摘されている。 ・体力については、運動する子供とそうでない子供の二極化傾向や、スポーツを「する」のみならず「みる、支える、知る」といった多様な視点から関わりを考えることが課題となっている。 子供の健康に関しては、性や薬物等に関する情報の入手が容易になるなど、子供たちを取り巻く環境が大きく変化している。また、食を取り巻く社会環境や、子供を取り巻く安全に関する環境も変化しており、必要な情報を自ら収集し、意思決定や行動選択を行うことができる力を子供たち一人一人に育むことが課題となっている。 (子供たち一人一人の成長を支え可能性を伸ばす視点の重要性) ・家庭の経済的な背景や、障害の状況や発達の段階、学習や生活の基盤となる日本語の能力、一人一人のキャリア形成など、子供の発達や学習を取り巻く個別の教育的ニーズを把握し、そうした課題を乗り越え、一人一人の可能性を伸ばしていくことも課題となっている。 第2章 2030年の社会と子供たちの未来 (予測困難な時代に、一人一人が未来の創り手となる) ・新しい学習指導要領等は、小学校では、東京オリンピック・パラリンピツク競技大会が開催される2020年から、その10年後の2030年頃までの間、子供たちの学びを支える重要な役割を担うことになる。この2030年頃の社会の在り方を見据えながら、これから子供たちが活躍することとなる将来について見通した姿を考えていくことが重要となる。 ・21世紀の社会は知識基盤社会であり、こうした社会認識は今後も継承されていくものであるが、近年、情報化やグローバル化といった社会的変化が、人間の予測を超えて加速度的に進展するようになってきている。とりわけ第4次産業革命ともいわれる、進化した人工知能が様々な判断を行ったり、身近な物の働きがインターネット経由で最適化されたりする時代の到来が、社会や生活を大きく変えていくとの予測がなされている。 ・社会の変化は加速度を増し、複雑で予測困難となってきており、どのような職業や人生を選択するかにかかわらず、全ての子供たちの生き方に影響するものとなっている。このような時代だからこそ、子供たちは、変化を前向きに受け止め、社会や人生を、人間ならではの感性を働かせてより豊かなものにしていくことが期待される。 ・いかに進化した人工知能でも、それが行っているのは与えられた目的の中での処理であるが、人間は、感性を豊かに働かせながら、どのような未来を創っていくのか、どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかという目的を自ら考え出すことができる。このために必要な力を成長の中で育んでいるのが、人間の学習である。 ・子供たち一人一人が、予測できない変化に受け身で対処するのではなく、主体的に向き合って関わり合い、その過程を通して、自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生の創り手となる力を身に付けられるようにすることが重要である。 (「生きる力」の育成と、学校教育及び教育課程への期待) ・こうした力は、これまでの学校教育で育まれてきたものとは異なる全く新しい力ということではなく、学校教育が長年その育成を目指してきた「生きる力」を改めて捉え直し、しっかりと発揮できるようにしていくことである。時代の変化という「流行」の中で未来を切り拓ひらいていくための力の基盤は、学校教育における「不易」たるものの中で育まれる。 ・今はまさに、学校と社会とが認識を共有し、相互に連携することができる好機にあると言える。学校教育がその強みを発揮し、一人一人の可能性を引き出して豊かな人生を実現し、個々のキャリア形成を促し、社会の活力につなげていくことが、社会からも強く求められている。 (我が国の子供たちの学びを支え、世界の子供たちの学びを後押しする) ・子供たちの現状と未来を見据えた視野から、学校教育の中核となる教育課程の改善を目指す改革の方向性は、国際的な注目も集めているところであり、我が国の子供たちの学びを支えるとともに、世界の子供たちの学びを後押しするものとすることが期待されている。 第3章「生きるカ」の理念の具体化と教育課程の課題 1.学校教育を通じて育てたい姿と「生きる力」の理念の具体化 ・教育基本法が目指す教育の目的や目標に基づき、子供たちの現状や課題を踏まえつつ、2030年とその先の社会の在り方を見据えながら、学校教育を通じて子供たちに育てたい姿を描くとすれば、以下のような在り方が考えられる。 社会的・職業的に自立した人間として、我が国や郷土が育んできた伝統や文化に立脚した広い視野を持ち、理想を実現しようとする高い志や意欲を持って、主体的に学びに向かい、必要な情報を判断し、自ら知識を深めて個性や能力を伸ばし、人生を切り拓ひらいていくことができること。 対話や議論を通じて、自分の考えを根拠とともに伝えるとともに、他者の考えを理解し、自分の考えを広げ深めたり、集団としての考えを発展させたり、他者への思いやりを持って多様な人々と協働したりしていくことができること。 変化の激しい社会の中でも、感性を豊かに働かせながら、よりよい人生や社会の在り方を考え、試行錯誤しながら問題を発見・解決し、新たな価値を創造していくとともに、新たな問題の発見・解決につなげていくことができること。 2.「生きる力」の育成に向けた教育課程の課題 (1)教科等を学ぶ意義の明確化と、教科等横断的な教育課程の検討・改善に向けた課題 ・前回改訂において重視された学力の三要素のバランスのとれた育成や、言語活動や体験活動の重視等については、学力が全体として改善傾向にあるという成果を受け継ぎ、引き続き充実を図ることが重要である。 ・一方で、子供たちの現状や課題に的確に対応していくためには、1.のような姿を描きながら「生きる力」をより具体化し、それがどのような資質・能力を育むことを目指しているのかを明確にしていくこと、それらの資質・能力と各学校の教育課程や、各教科等の授業等とのつながりがわかりやすくなるよう、学習指導要領等の示し方を工夫することが求められる。 ・現行学習指導要領は、各教科等において「教員が何を教えるか」という観点を中心に組み立てられており、一つ一つの学びが何のためか、どのような力を育むものかは明確ではない。このことが、各教科等の縦割りを超えた指導改善の工夫や、指導の目的を「何を知っているか」にとどまらず「何ができるようになるか」に発展させることを妨げている背景ではないかとの指摘もある。 ・各教科等において何を教えるかという内容は重要ではあるが、これまで以上に、その内容を学ぶことを通じて「何ができるようになるか」を意識した指導が求められている。新しい学習指導要領等には、各学校がこうした教育課程の検討・改善や、創意工夫にあふれた指導の充実を図ることができるよう、示し方を工夫していくことが求められる。 (2)社会とのつながりや、各学校の特色づくりに向けた課題 ・コミュニティ・スクールや地域学校協働活動等の推進による学校と地域の連携・協働を更に広げていくためには、学校教育を通じて育むことを目指す資質・能力や、学校教育と社会とのつながりについて、地域と学校が認識を共有することが求められる。また、学校教育に「外の風」、すなわち、変化する社会の動きを取り込み、世の中と結び付いた授業等を展開していけるようにすることも重要である。 ・そのため、教育課程の基準である学習指導要領等が、学校教育の意義や役割を社会と広く共有したり、学校経営の改善に必要な視点を提供したりするものとして見直されていく必要がある。 (3)子供たち一人一人の豊かな学びの実現に向けた課題 ・子供たち一人一人は、多様な可能性を持った存在であり、一人一人が互いの異なる背景を尊重し、様々な得意分野の能力を伸ばしていくこと、社会で生きていくために必要となる力をバランス良く身に付けていけるようにすることが重要である。 ・我が国が平成26年に批准した「障害者の権利に関する条約」において提唱されているインクルーシブ教育システムの理念の推進に向けても、一人一人の子供たちが、障害の有無やその他の個々の違いを認め合いながら、共に学ぶことを追求することが求められる。 ・また、子供たち一人一人に、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる能力や態度を育み、キャリア発達を促すキャリア教育の視点も重要である。 (4)学習評価や条件整備等との一体的改善・充実に向けた課題 ・新しい学習指導要領等の理念を実現していくためには、学習評価の改善・充実や、必要な条件整備などを、教育課程の改善の方向性と一貫性を持って実施していくことが必要である。 第4章 学習指導要領等の枠組みの改善と「社会に開かれた教育課程」 1.「社会に開かれた教育課程」の実現 ・前章において述べた教育課程の課題を乗り越え、子供たちの日々の充実した生活を実現し、未来の創造を目指していくためには、「社会に開かれた教育課程」として次の点が重要になる。 ①社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を持ち、教育課程を介してその目標を社会と共有していくこと。 ②これからの社会を創り出していく子供たちが、社会や世界に向き合い関わり合い、自らの人生を切り拓ひらいていくために求められる資質・能力とは何かを、教育課程において明確化し育んでいくこと。 ③教育課程の実施に当たって、地域の人的・物的資源を活用したり、放課後や土曜日等を活用した社会教育との連携を図ったりし、学校教育を学校内に閉じずに、その目指すところを社会と共有・連携しながら実現させること。 2.学習指導要領等の改善の方向性 (1)学習指導要領等の枠組みの見直し (「学びの地図」としての枠組みづくりと、各学校における創意工夫の活性化) ・新しい学習指導要領等に向けては、以下の6点に沿って枠組みを考えていくことが必要となる。 ①「何ができるようになるか」(育成を目指す資質・能力) ②「何を学ぶか」(教科等を学ぶ意義と、教科等間・学校段階間のつながりを踏まえた教育課程の編成) ③「どのように学ぶか」(各教科等の指導計画の作成と実施、学習・指導の改善・充実) ④「子供一人一人の発達をどのように支援するか」(子供の発達を踏まえた指導) ⑤「何が身に付いたか」(学習評価の充実) ⑥「実施するために何が必要か」(学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策) (新しい学習指導要領等の考え方を共有するための、総則の抜本的改善) ・学習指導要領等の改訂においては、総則の位置付けを抜本的に見直し、前述①〜⑥に沿った章立てとして組み替え、全ての教職員が校内研修や多様な研修の場を通じて、新しい教育課程の考え方について理解を深めることができるようにすることが重要である。 (2)教育課程を軸に学校教育の改善・充実の好循環を生み出す「カリキュラム・マネジメント」の実現 ・「社会に開かれた教育課程」の理念のもと、子供たちに資質・能力を育んでいくためには、前項(1)①〜⑥に関わる事項を各学校が組み立て、家庭・地域と連携・協働しながら実施し、目の前の子供たちの姿を踏まえながら不断の見直しを図ることが求められる。こうした「カリキュラム・マネジメント」は、以下の三つの側面から捉えることができる。 ①各教科等の教育内容を相互の関係で捉え、学校教育目標を踏まえた教科等横断的な視点で、その目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと。 ②教育内容の質の向上に向けて、子供たちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データ等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDCAサイクルを確立すること。 ③教育内容と、教育活動に必要な人的・物的資源等を、地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること。 (3)「主体的・対話的で深い学び」の実現(「アクティブ・ラーニング」の視点) ・子供たちが、学習内容を人生や社会の在り方と結びつけて深く理解し、これからの時代に求められる資質・能力を身に付け、生涯にわたって能動的に学び続けることができるよう、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて、授業改善に向けた取組を活性化していくことが重要である。 ・今回の改訂が目指すのは、学習の内容と方法の両方を重視し、子供の学びの過程を質的に高めていくことである。単元や題材のまとまりの中で、子供たちが「何ができるようになるか」を明確にしながら、「何を学ぶか」という学習内容と、「どのように学ぶか」という学びの過程を組み立てていくことが重要になる。 第5章 何ができるようになるか —育成を目指す資質・能力— 1.育成を目指す資質・能力についての基本的な考え方 ・育成を目指す資質・能力に共通する要素を明らかにし、教育課程の中で計画的・体系的に育んでいくことができるようにする必要がある。 2.資質・能力の三つの柱に基づく教育課程の枠組みの整理 ・教科等と教育課程全体の関係や、教育課程に基づく教育と資質・能力の育成の間をつなぎ、求められる資質・能力を確実に育むことができるよう、教科等の目標や内容を以下の三つの柱に基づき再整理することが必要である。 ①「何を理解しているか、何ができるか(生きて働く「知識・技能」の習得)」 ②「理解していること・できることをどう使うか(未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成)」 ③「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養)」 3.教科等を学ぶ意義の明確化 ・子供たちに必要な資質・能力を育んでいくためには、各教科等をなぜ学ぶのか、それを通じてどういった力が身に付くのかという、教科等を学ぶ本質的な意義を明確にすることが必要になる。各教科等の教育目標や内容については、第2部において示すとおり、資質・能力の在り方を踏まえた再編成を進めることが必要である。 ・各教科等を学ぶ本質的な意義の中核をなすのが「見方・考え方」であり、教科等の教育と社会をつなぐものである。子供たちが学習や人生において「見方・考え方」を自在に働かせられるようにすることにこそ、教員の専門性が発揮されることが求められる。 4.教科等を越えた全ての学習の基盤として育まれ活用される資質・能力 ・全ての学習の基盤となる言語能力や情報活用能力、問題発見・解決能力などを、各学校段階を通じて体系的に育んでいくことが重要である。 5.現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力 ・現代的な諸課題に対応して、子供の姿や地域の実状を踏まえつつ、以下のような力を育んでいくことが重要となる。 健康・安全・食に関する力 主権者として求められる力 新たな価値を生み出す豊かな創造性 グローバル化の中で多様性を尊重するとともに、現在まで受け継がれてきた我が国固有の領土や歴史について理解し、伝統や文化を尊重しつつ、多様な他者と協働しながら自標に向かって挑戦する力 地域や社会における産業の役割を理解し地域創生等に生かす力 自然環境や資源の有限性の中で持続可能な社会をつくる力 豊かなスポーツライフを実現する力 6.資質・能力の育成と、子供たちの発達や成長のつながり ・今回の改訂における教育課程の枠組みの整理は、各教科等で学ぶことを単に積み上げるのではなく、発達の段階に応じた縦のつながりと、各教科等の横のつながりを行き来しながら、教育課程の全体像を構築していくことを可能とするものである。 ・資質・能力の育成に当たっては、子供一人一人の興味や関心、発達や学習の課題等を踏まえ、それぞれの個性に応じた学びを引き出し、一人一人の資質・能力を高めていくことも重要となる。 第6章 何を学ぶか —教科等を学ぶ意義と、教科等間・学校段階間のつながりを踏まえた教育課程の編成— ・様々な資質・能力は、教科等の学習から離れて単独に育成されるものではなく、関連が深い教科等の内容事項と関連付けながら育まれるものであり、資質・能力の育成には知識の質や量が重要である。こうした考えに基づき、今回の改訂は、学びの質と量を重視するものであり、学習内容の削減を行うことは適当ではない。 ・教科・科目構成については、第2部に示すとおり、初等中等教育全体を通じた資質・能力育成の見通しの中で、小学校における外国語教育については、教科の新設等を行い、また、高等学校においては、国語科、地理歴史科その他の教科について、初等中等教育を修了するまでに育成を目指す資質・能力の在り方や、高等学校教育における「共通性の確保」及び「多様性への対応」の観点を踏まえつつ、科目構成の見直しを行うことが必要である。 ・幼稚園教育要領においては、ねらいや内容をこれまで通り領域別に示しつつ、資質・能力の三つの柱に沿って内容の見直しを図ることや、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を位置付けることが必要である。 第7章 どのように学ぶか —各教科等の指導計画の作成と実施、学習・指導の改善・充実— 1.学びの質の向上に向けた取組 ・子供たちは、主体的に、対話的に、深く学んでいくことによって、学習内容を人生や社会の在り方と結びつけて深く理解したり、未来を切り拓ひらくために必要な資質・能力を身に付けたり、生涯にわたって能動的に学び続けたりすることができる。こうした学びの質に着目して、授業改善の取組を活性化しようというのが、今回の改訂が目指すところである。 ・特に小・中学校では、多くの関係者による授業改善の実践が重ねられてきている。他方、高等学校、特に普通科においては、自らの人生や社会の在り方を見据えてどのような力を主体的に育むかよりも、大学入学者選抜に向けた対策が学習の動機付けとなりがちであることが課題となっている。今後は、特に高等学校において、義務教育までの成果を確実につなぎ、一人一人に育まれた力を更に発展・向上させることが求められる。 2.「主体的・対話的で深い学び」を実現することの意義 (「主体的・対話的で深い学び」とは何か) ・「主体的・対話的で深い学び」の実現とは、特定の指導方法のことでも、学校教育における教員の意図性を否定することでもない。教員が教えることにしっかりと関わり、子供たちに求められる資質・能力を育むために必要な学びの在り方を絶え間なく考え、授業の工夫・改善を重ねていくことである。 ・「主体的・対話的で深い学び」の実現とは、以下の視点に立った授業改善を行うことで、学校教育における質の高い学びを実現し、学習内容を深く理解し、資質・能力を身に付け、生涯にわたって能動的(アクティブ)に学び続けるようにすることである。 (1)学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているか。 (2)子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できているか。 (3)習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう「深い学び」が実現できているか。 (各教科等の特質に応じた学習活動を改善する視点) ・「アクティブ・ラーニング」については、地域や社会の具体的な問題を解決する学習を指すものと理解されることがあるが、例えば国語や各教科等における言語活動や、社会科において課題を追究し解決する活動、理科において観察・実験を通じて課題を探究する学習、体育における運動課題を解決する学習、美術における表現や鑑賞の活動など、全ての教科等における学習活動に関わるものであり、これまでも充実が図られてきたこうした学習を、更に改善・充実させていくための視点であることに留意が必要である。 ・こうした学習活動については、今までの授業時間とは別に新たに時間を確保しなければできないものではなく、現在既に行われているこれらの活動を、「主体的・対話的で深い学び」の視点で改善し、単元や題材のまとまりの中で指導内容を関連付けつつ、質を高めていく工夫が求められている。 (単元等のまとまりを見通した学びの実現) ・「主体的・対話的で深い学び」は、1単位時間の授業の中で全てが実現されるものではなく、単元や題材のまとまりの中で実現されていくことが求められる。 (「深い学び」と「見方・考え方」) ・学びの「深まり」の鍵となるのが、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」である。「見方・考え方」は、新しい知識・技能を既に持っている知識・技能と結びつけながら深く理解し、社会の中で生きて働くものとして習得したり、思考力・判断力・表現力を豊かなものとしたり、社会や世界にどのように関わるかの視座を形成したりするために重要なものである。「見方・考え方」を軸としながら、幅広い授業改善の工夫が展開されていくことを期待する。 3.発達の段階や子供の学習課題等に応じた学びの充実 ・「主体的・対話的で深い学び」の具体的な在り方は、発達の段階や子供の学習課題等に応じて様々である。基礎的・基本的な知識・技能の習得に課題が見られる場合には、子供の学びを深めたり主体性を引き出したりといった工夫を重ねながら、確実な習得を図ることが求められる。 ・体験活動を通じて、様々な物事を実感を伴って理解したり、人間性を豊かにしたりしていくことも求められる。加えて、子供たちに情報技術を手段として活用できる力を育むためにも、学校において日常的にICTを活用できるような環境づくりが求められる。 第8章 子供一人一人の発達をどのように支援するか —子供の発達を踏まえた指導— 1.学習活動や学校生活の基盤となる学級経営の充実 ・子供の学習活動や学校生活の基盤となるのが、日々の生活を共にする基礎的な集団である学級やホームルームであり、小・中・高等学校を通じた充実を図ることが重要である。 2.学習指導と生徒指導 ・生徒指導については、個別の問題行動等への対応にとどまらないよう、どのような資質・能力の育成を目指すのか等を踏まえながら、改めて意義を捉え直しその機能が発揮されるようにしていくことが重要である。学習指導と生徒指導とを相互に関連付け充実を図ることも重要である。 3.キャリア教育(進路指導を含む) ・小・中・高等学校を見通した充実を図るため、キャリア教育の中核となる特別活動の役割を一層明確にするとともに、「キャリア・パスポート(仮称)」の活用を図る。 ・キャリア教育の実施に当たっては、地域との連携・協働を進めていく必要がある。また、これまでの進路指導の実践をキャリア教育の視点からとらえ直していくことが求められる。 4.個に応じた指導 ・一人一人の発達や成長をつなぐ視点で資質・能力を育成し、学習内容を確実に身に付ける観点から、個に応じた指導を一層重視する必要がある。 5.教育課程全体を通じたインクルーシブ教育システムの構築を目指す特別支援教育 ・特別支援教育に関する教育課程の枠組みを、全ての教職員が理解できるよう、通級による指導や特別支援学級における教育課程編成の基本的な考え方をわかりやすく示していくことが求められる。また、幼・小・中・高等学校の通常の学級においても、発達障害を含む障害のある子供が在籍している可能性があることを前提に、全ての教科等において指導の工夫の意図、手立ての例を具体的に示していくことが必要である。 ・通級による指導を受ける児童生徒及び特別支援学級に在籍する児童生徒については、「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」を全員作成することが適当である。平成30年度から制度化される高等学校における通級による指導については、制度の実施にあたり必要な事項を示すことと併せて、円滑に準備が進められるような実践例の紹介等が求められる。 ・障害者理解や交流及び共同学習については、学校の教育活動全体での一層の推進を図ることが求められる。その際、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とする「心のバリアフリー」の推進の動向も踏まえ、全ての人が、障害等の有無にかかわらず、多様性を尊重する態度を育成できるようにすることが求められる。 6.子供の日本語の能力に応じた支援の充実 ・海外から帰国した児童生徒や、近年増加傾向にある外国人児童生徒が、どのような年齢・学年で日本の学校教育を受けることになったとしても、一人一人の日本語の能力に応じた支援を受け、学習や生活の基盤を作っていくことができるよう、指導の目標や支援の視点を明確にして取り組んでいくことが求められる。 ・児童生徒の日本語の能力に応じて、特別の指導を行う必要がある場合には、通級による指導を行うことができるよう「特別の教育課程」が平成26年度から制度化されたところであり、児童生徒の状況に応じて、在籍学級における支援と通級による指導の双方を充実させていくことが必要である。 第9章 何が身に付いたか —学習評価の充実— ・学習評価については、教育課程や学習・指導方法の改善と一貫性を持った形で改善を進めることが求められる。また、「カリキュラム・マネジメント」の中で、学習評価の改善を、授業改善及び組織運営の改善に向けた学校教育全体のサイクルに位置付けていくことが必要である。 ・今後、観点別評価については、目標に準拠した評価の実質化や、教科・校種を超えた共通理解に基づく組織的な取組を促す観点から、小・中・高等学校の各教科を通じて、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理することとし、指導要録の様式を改善することが必要である。 ・なお、観点別学習状況の評価には十分示しきれない、児童生徒一人一人のよい点や可能性、進歩の状況等については、日々の教育活動や総合所見等を通じて積極的に子供に伝えることが重要である。 第10章 実施するために何が必要か —学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策— ・「社会に開かれた教育課程」を実現するためには、これからの学校教育の在り方に関わる諸改革との連携を図ることや、学習指導要領等の実施に必要な条件整備等が必要不可欠であり、その着実な推進を国や教育委員会等の行政や設置者には強く求めたい。 1.「次世代の学校・地域」創生プランとの連携 ・中央教育審議会が平成27年12月にまとめた、教員の資質・能力の向上を目指す制度改革、「チームとしての学校」の実現、地域と学校の連携・協働に向けた改革を柱とする三つの答申を受け、文部科学省は「「次世代の学校・地域」創生プラン」を策定したところであり、今後、その進展と軌を一にしながら教育課程の改善を進めていく必要がある。 2.学習指導要領等の実施に必要な諸条件の整備 (教員の資質・能力の向上) ・これからの教員には、学級経営や児童生徒理解等に必要な力に加え、教科等を越えた「カリキュラム・マネジメント」の実現や、「主体的・対話的で深い学び」を実現するための授業改善や教材研究、学習評価の改善・充実などに必要な力等が求められる。教科等の枠を越えた校内の研修体制の一層の充実を図り、学校教育目標や育成を目指す資質・能力を踏まえ、「何のために」「どのような改善をしようとしているのか」を教員間で共有しながら、学校組織全体としての指導力の向上を図っていけるようにすることが重要である。 ・教員の資質・能力の向上を目指す制度改革については、国、教育委員会、学校、大学等が目標を共有してお互い連携しながら、次期学習指導要領等に向けて教員に求められる力を効果的に育成できるよう、教育委員会と大学等との協議の場の設置や教員に求められる能力を明確化する教員育成指標、それを踏まえた研修計画の策定などを実施することとしている。教員研修自体の在り方を、「アクティブ・ラーニング」の視点で見直すことなども提言している。 (指導体制の整備・充実) ・「主体的・対話的で深い学び」を実現するための授業改善や教材研究、学習評価の充実、子供一人一人の学びを充実させるための少人数によるきめ細かな指導の充実など、次期学習指導要領等における指導や業務の在り方に対応するため、必要な教職員定数の拡充を図ることが求められる。 ・事務体制の強化や、教員以外の専門スタッフ等も参画した「チームとしての学校」の実現を通じて、複雑化・多様化した課題を解決に導いたり、教員が子供と向き合う時間的・精神的な余裕を確保したりしていくことが重要である。教育課程の実施をはじめとした学校運営を、コミュニティ・スクールや様々な地域人材との連携等を通じて地域で支えていくことなどについても、積極的に進めていくことが重要である。 ・国や各教育委員会等においても、教科等別の学習指導に関する改善のみならず、教科等を横断した教育課程全体の改善について助言を行うことができるような体制を整えていくことが必要であり、教育委員会における指導担当部課長や指導主事等の力量の向上が求められる。 ・授業改善や校内研修等の実践事例について、モデル校の先進事例等を動画も含めて参照できるようなアーカイブを整備していくことも考えられる。独立行政法人教員研修センター(平成29年4月から「独立行政法人教職員支援機構」)の機能強化や、各地方自治体の教員研修施設における研修プログラムの開発や普及を図ることも重要である。 ・第2部に示した高等学校に置かれる新教科・科目については、その趣旨の理解や指導体制の確立、指導方法の研修等に、特に配慮していくことが求められる。 (業務の適正化) ・文部科学省において平成28年6月に策定した「学校現場における業務の適正化に向けて」に基づき、学校現場の業務の適正化に向けた方策を着実に実施していくことが求められる。 (教材や教育環境の整備・充実) ・教科書を含めた教材についても、資質・能力の三つの柱や「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた視点を踏まえて改善を図る必要がある。特に主たる教材である教科書は、子供たちが「どのように学ぶか」に大きく影響するものであり、「主体的・対話的で深い学び」を実現するには、教科書自体もそうした学びに対応したものに変わることが重要である。 ・学校図書館の充実に加えて、日常的にICTを活用できる環境整備が不可欠である。 3.社会との連携・協働を通じた学習指導要領等の実施 (家庭・地域との連携・協働) ・「社会に開かれた教育課程」の理念のもと、家庭や地域の人々とともに子供を育てていくという視点に立ち、地域学校協働活動を進めながら、学校内外を通じた子供の生活の充実と活性化を図ることが大切である。学校、家庭、地域社会がそれぞれ本来の教育機能を発揮し、全体としてバランスのとれた教育が行われることが重要である。 ・経済的状況にかかわらず教育を受けられる機会を整えていくことや、家庭環境や家族の状況の変化等を踏まえた適切な配慮を行っていくことも不可欠である。 (高大接続改革等の継続) ・高等学校教育における子供たちの学びの成果が、大学入学者選抜を通じて適切に評価され、大学教育を通じて更に伸ばしていくことができるよう、今回改訂の趣旨も踏まえつつ、高大接続改革が引き続き強力に推進されるよう求める。 ・子供たちが学校から社会・職業へ移行した後までも見通し、学校教育と社会や職業との接続を意識した改善・充実を進めていくことも重要である。その際、特定の既存組織のこれまでの在り方のみを前提とするのではなく、子供たちが職業を通じて未来の社会を創り上げていくという視点に立って接続を考えていくことが重要である。 (新しい教育課程が目指す理念の共有と広報活動の充実) ・新しい教育課程が目指す理念を、学校や教育関係者のみならず、保護者や地域の人々、産業界等を含め広く共有し、社会全体で協働的に子供の成長に関わっていくことが必要である。また、一人一人の教職員が、本答申を通じて次期学習指導要領等の理念や基本的な考え方に触れ、自身の専門性を高めていけるようにすることも重要である。 ・そのため、教職員一人一人や多くの保護者等に学習指導要領等の理念が分かりやすく伝わるような工夫が求められる。「社会に開かれた教育課程」を目指す今回改訂においては、国には、あらゆる媒体を通じて本答申や、今後改訂される学習指導要領等の内容を広く広報し、その成果を今後の教育課程の改善等に生かしていくことを強く求めたい。 【トップに戻る】 第2部 各学校段階、各教科等における改訂の具体的な方向性 第1章 各学校段階の教育課程の基本的な枠組みと、学校段階間の接続 1.幼児教育 ・幼児教育で育みたい資質・能力として、「知識・技能の基礎」、「思考力・判断力・表現力等の基礎」、「学びに向かう力、人間性等」の三つを、現行の幼稚園教育要領等の5領域(「健康」、「人間関係」、「環境」、「言葉」、「表現」)を踏まえて、遊びを通しての総合的な指導により一体的に育む。 ・また、5歳児修了時までに育ってほしい具体的な姿(「健康な心と体」「自立心」「協同性」「道徳性・規範意識の芽生え」「社会生活との関わり」「思考力の芽生え」「自然との関わり・生命尊重」「数量・図形、文字等への関心・感覚」「言葉による伝え合い」「豊かな感性と表現」)を明確にし、幼児教育の学びの成果が小学校と共有されるよう工夫・改善を行う。 ・自己制御や自尊心などのいわゆる非認知的能力の育成など、現代的な課題を踏まえた教育内容の見直しを図るとともに、預かり保育や子育ての支援を充実する。 ・幼稚園教育要領の改訂内容を踏まえ、保育所保育指針及び幼保連携型認定こども園教育・保育要領の改訂内容について整合性が図られるとともに、幼稚園と小学校の接続と同様に、保育所及び幼保連携型認定こども園についても小学校との円滑な接続を一層推進されることが望まれる。 2.小学校 (小学校教育の基本と、低・中・高学年それぞれの課題) ・小学校の6年間は、子供たちにとって大きな幅のある期間であり、幼児教育や中学校教育との接続を考えながら、低学年、中学年、高学年の発達の段階に応じた資質・能力の在り方や指導上の配慮を行っていく。 ・具体的には、(1)低学年では、その2年間の中で生じた学力差が、その後の学力差の拡大に大きく影響するとの指摘を踏まえ、中学年以降の学習の素地の形成や一人一人のつまずきを早期に見いだし指導上の配慮を行っていくこと、(2)中学年では、低学年において具体的な活動や体験を通じて身に付けたことを、次第に抽象化する各教科等の特質に応じた学びに円滑に移行できるような指導上の配慮を行っていくこと、(3)子供たちの抽象的な思考力が高まる時期である高学年では、教科等の学習内容の理解をより深め資質・能力の育成に確実につなげる観点から、学級担任制の良さを生かしつつ専科指導を充実することによる指導の専門性の強化を図る。 (言語能力の育成と国語教育、外国語教育の改善・充実) ・学習や生活の基盤作りという観点から、小学校段階においては、言語を扱う国語教育と外国語教育の改善・充実、及びその連携を図り言語能力の育成を推進する。 ・小学校段階の国語教育においては、目的や意図に応じて情報を整理して文章にすることや文章全体の構成や表現の工夫を捉えることなどへの課題を受け、高等学校の科目構成の見直し等も見通しながら、言語能力を構成する資質・能力やそれが働く過程等に関する整理を踏まえ、教育目標や内容の見直しを図ることとしている。特に、低学年の学力差の大きな背景に語彙の量と質の違いがあるとの指摘を踏まえ、思考を深めたり活性化させたりしていくための語彙を豊かにするなど、語彙量を増やし語彙力を伸ばすための指導の改善・充実を図ることが重要である。 ・外国語教育については、子供たちが将来どのような職業に就くとしても求められる、外国語で多様な人々とコミュニケーションを図ることができる基礎的な力を育成することが重要である。国の高等学校卒業段階における英語力の成果指標を基に、国際的な基準であるCEFRのA2~B1レベル程度以上(英検準2級から2級程度以上)の高校生の割合を5割とする取組を進めてきたことを踏まえつつ、小・中・高等学校を通じて一貫して育む領域別の目標を設定し、初等中等教育全体を見通して確実に育成する。 ・小学校段階では、現在高学年において「聞くこと」「話すこと」を中心とした外国語活動を実施しているが、子供たちの「読むこと」「書くこと」への知的欲求も高まっている状況にある。全ての領域をバランスよく育む教科型の外国語教育を、高学年から導入することとする。その際、単なる中学校の前倒しではなく、“なじみのある表現を使って、自分の好きなものや一日の生活などについて、友達に質問したり答えたりすることができる”といった、発達段階にふさわしい力を育成する。 高学年において、現行の外国語活動(35単位時間)における「聞くこと」「話すこと」の活動に加え、「読むこと」「書くこと」を加えた領域を扱うためには、年間70単位時間程度の時数が必要である。 ・外国語を通じて、言語や文化について体験的に理解を深め、日本語と外国語の音声や語順等に気付いた上で、外国語の音声や表現などに慣れ親しませるようにするため、中学年から「聞くこと」「話すこと」を中心とした外国語活動を行い、高学年の教科型の学習につなげていくこととし、そのためには、年間35単位時間程度の時数が必要である。 ・あわせて、言語能力向上の観点から、国語教育との連携を図り相乗的な効果が見られる例などを踏まえた具体的な取組を推進する。 (情報技術を手段として活用する力やプログラミング的思考の育成) ・発達の段階に応じた情報活用能力を体系的に育成する観点から、小学校段階では文字入力やデータ保存などに関する技能の確実な習得を図るとともに、将来どのような職業に就くとしても時代を超えて普遍的に求められる「プログラミング的思考」を育むプログラミング教育の実施が求められる。その際、各小学校には、その実情等に応じて、プログラミング教育を行う単元を位置づける学年や教科等を決め指導内容を計画・実施していくことが求められる。 ・各小学校が見通しをもってプログラミング教育を実施することできるよう、国には教育委員会や、小学校現場、関係団体、民間や学術機関等と連携しながら、プログラミング教育に関する指導事例集や教材等の開発・改善を行うことと併せて、ICT環境の整備や教員研修、指導体制の整備などを確実に図っていくことが求められる。 (各小学校における弾力的な時間割編成) ・授業時数に関して、教育課程全体を見渡したとき、これからの時代に求められる資質・能力を育成していくためには、学びの量と質の双方が重要であり、また、教科学習と、教科横断的な学習の双方を充実させていくことが必要である。そのためには、各教科等の指導内容は維持しつつ、資質・能力の育成の観点から質的な向上を図ることが前提となり、指導内容や授業時数を削減するという選択肢をとることは困難である。 ・したがって、時数としては中学年・高学年においてそれぞれ年間35単位時間増となる。週当たりで考えれば、1コマ分であるが、小学校における多様な時間割編成の現状を考慮すると、全小学校において一律の取扱いとすることは困難である。15分の短時間学習の設定や45分に15分を加えた60分授業の設定、長期休業期間における学習活動、土曜日の活用や週当たりコマ数の増など、地域や学校の実情に応じて組み合わせながら弾力的な時間割編成を可能としていくことが必要である。 ・国には、現在既に小学校で行われている時間割編成の工夫を参考にしながら、教育委員会と小学校現場、関係団体が連携して調査研究し、効果的な創意工夫の在り方を普及させていくことが求められる。 ・また、小学校における外国語教育の導入に当たっては、平成30年度以降の移行措置期間における教育課程の編成・実施に当たっての留意事項と必要な学習内容とを早期に明確にするとともに、そのために必要な教材の開発・整備や、小学校高学年の教科化に対応した指導の充実の観点から、養成・採用・研修を通じた小学校教員の専門性向上の取組とともに、中・高等学校の英語の教員免許を所持する小学校教員や退職教員による専科指導、外国語が堪能な外部人材による学級担任とのティーム・ティーチング等など、専門性を一層重視した指導体制の構築が必要である。 3.中学校 ・義務教育を終える段階で求められる資質・能力を確実に育み、高等学校教育等のその後の学びに円滑に接続させていくことが必要であり、義務教育9年間を通じた資質・能力の育成を図る。 ・小・中・高等学校を見通した改善・充実を図るため、外国語科における全国学力・学習状況調査を活用した指導改善サイクルの確立、社会科におけるグローバル化への対応や政治参加、防災等に関する学習の充実、技術・家庭科技術分野におけるプログラミング教育の充実など、各教科等の課題に応じた教育内容の見直しを実施する。 ・教育課程内外の活動が相乗効果を持って生徒の資質・能力の育成に資するものとなるよう、生徒の「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指す。 ・部活動については、教育課程の外の学校教育活動としての位置付けを維持しつつ、少子化の進展や教員の負担軽減の観点を考慮して、将来にわたって持続可能な在り方を検討することが求められる。学校教育活動の一環として、関係教科等と関連付ける視点、休養日や適切な活動時間の設定などバランスのとれた生活や成長への配慮を行うとともに、一定規模の地域単位で運営を支える体制を構築することが不可欠である。 4.高等学校 ・社会で生きていくために必要となる力を共通して身に付ける「共通性の確保」と、一人一人の生徒の進路に応じた多様な可能性を伸ばす「多様性への対応」の観点を軸にしながら、高大接続改革の動きを踏まえつつ、教科・科目の構成を見直す。その際、現在の各学校における教育課程の状況等を踏まえ、卒業に必要な単位数は引き続き74単位以上とするとともに、必履修教科・科目を設定し、全ての生徒が社会に生きていくために必要となる力を共通して身に付けることができるようにする。 ・生徒一人一人に、初等中等教育を通じて身に付けるべき資質・能力を確実に育むという観点から、高等学校において義務教育段階での学習内容の確実な定着を図るための学び直しの指導が充実されるようにする。 ・生徒の資質・能力の育成に向けて、指導と評価の改善を一体として進める。指導要録の様式例を見直し、観点別評価の一層の充実を進めるとともに、探究の過程を重視した学習に関する評価の在り方等の開発・普及、「キャリア・パスポート(仮称)」などを活用して、生徒が自らの学習状況やキャリア形成を見通したり、振り返ったりすることができるようにする。 ・専門学科においては、我が国の産業経済の発展を担う人材を育成するため、又はその他の特定の分野における専門的な人材を育成するため、一定の専門性を確保する観点から、引き続き専門教科・科目を25単位以上履修させる。 また、総合学科は、将来の職業選択など自己の進路への自覚を深める学習を重視し、引き続き「産業社会と人間」を履修することとし、キャリア教育の充実の方向性を踏まえて内容の改善を図る。 ・定時制課程及び通信制課程は、生徒の多様化が進む中で、多様な学習ニーズに対応する役割があり、引き続き高等学校の教育課程の基本的な枠組みを踏まえつつ、必要な弾力的な扱いを維持する。 5.特別支援学校 ・特別支援学校においても、(1)教育が普遍的に目指す根幹を堅持しつつ、社会の変化に視点を向け、柔軟に受け止めていく「社会に開かれた教育課程」の考え方、(2)育成を目指す資質・能力についての基本的な考え方、(3)課題の発見や解決に向けた「主体的・対話的で深い学び」の視点を踏まえた指導方法の充実、(4)カリキュラム・マネジメントなど、初等中等教育全体の改善・充実の方向性を重視する。 ・視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者又は病弱者に対する教育を行う特別支援学校においては、幼稚園の各領域や小学校等の各教科等の改訂内容を十分に踏まえ、その着実な実施が求められる。 ・知的障害者である児童生徒のための各教科の目標や内容について、育成を目指す資質・能力の三つの柱に基づき整理する。 各部間での円滑な接続を図るため、段階ごとに目標を示すとともに、各部や各段階の内容のつながりを整理し、中学部に新たに第二段階を設ける。 小学部の教育課程に外国語活動の内容を加えることができるようにする。 障害の程度や学習状況等の個人差が大きいことを踏まえ、特に必要がある場合には、個別の指導計画に基づき、当該各部に相当する学校段階までの小学校等の学習指導要領の各教科の目標・内容等を参考に指導できるようにする。 児童生徒一人一人の学習状況を多角的に評価するため、各教科の目標に準拠した評価の観点による学習評価を導入する。 ・自立活動について、自己の理解を深め、自己肯定感を高めるなど、発達の段階を踏まえて内容を改善・充実するとともに、実態把握から指導・内容の設定までの各プロセスをつなぐポイントや、自立活動における多様な評価方法について分かりやすく示す。 ・障害の状態により特に必要がある児童生徒に対して、自立活動を主とした指導を行う場合など、重複障害者等に関する教育課程の取扱いを適用する際の基本的な考え方を分かりやすく示す。 ・幼稚部、小学部の段階から、学校や社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現していく過程であるキャリア発達を促すキャリア教育の視点を示す。 6.学校段階間の接続 (幼児教育と小学校教育の接続) ・幼児教育において、資質・能力の三つの柱に沿って内容の見直しを図ることや、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を位置付けることを踏まえ、小学校において、生活科を中心としたスタートカリキュラムを位置付け、幼児期に総合的に育まれた資質・能力や子供たちの成長を、各教科等の特質に応じた学びにつなげていく。 (小学校教育と中学校教育の接続) ・義務教育9年間を通じて、子供たちに必要な資質・能力を確実に育むことを目指し、小・中学校間の連携の取組を充実させる。小学校高学年は、専科指導を拡充するなどにより、中学校への接続を見据えた指導体制の充実を図る。 (中学校教育と高等学校教育の接続) ・中学校においては、義務教育段階で身に付けておくべき資質・能力をしっかりと育成した上で、高等学校では、必要に応じて学び直しの視点を踏まえた教育課程を編成するとともに、生徒が適切な教科・科目を選択できるよう指導の充実を図る。また、高等学校入学者選抜について、資質・能力を育む次期学習指導要領の趣旨を踏まえた改善を図る。 (幼稚園、小学校、中学校、高等学校等と特別支援学校との連続性) ・子供たちの学びの連続性を確保する観点から、知的障害のある児童生徒のための各教科の目標・内容の考え方や、重複障害者等の教育課程の取扱いを適用する際の留意点について、小・中学校等の各教科の目標・内容との連続性に留意して整理するとともに、小学校等と特別支援学校の間での転校に当たって、継続的な指導や支援が行われるよう、個別の教育支援計画や個別の指導計画の引き継ぎ、活用についての考え方の留意点を示す。 (高大接続) ・高大接続改革は、高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の在り方を一体的に改革するものであり、大学入学者選抜においては、高等学校教育を通じて育まれた生徒の力を多面的に捉えて評価していくこと、大学教育においては、高等学校教育における成果を更に伸ばすことを目指している。高等学校においては、こうした高大接続の見通しを持ちながら、教育課程の編成・実施・改善、指導や評価の充実を図っていくことが求められる。 (職業との接続) ・学校教育においては、子供たちが社会・職業へ移行した後までを見通し、学校教育を通じて育成を目指す資質・能力を明確にし、教育課程を編成していく。特に、高等学校においては、卒業後に就職を希望する生徒のニーズに応えるよう教育課程の改善・充実を図るとともに、企業等とも連携し、より実践的な教育活動が展開できる体制整備等を進める。 第2章 各教科・科目等の内容の見直し 1.国語 ・国語で理解し表現する資質・能力を育成するため、構造と内容の把握、精査・解釈、考えの形成など、学習過程に着目した指導の改善・充実を図るとともに、語彙力や、情報を多面的・多角的に精査し構造化する力などを高める学習を重視する。 ・「学年別漢字配当表」に都道府県名に用いる漢字を加えるなど、漢字指導の改善・充実を図るとともに、我が国の言語文化を享受し、その担い手として継承・発展させる態度を育てる。 ・高等学校国語科においては、共通必履修科目として、実社会・実生活に生きて働く国語の能力を育成する科目「現代の国語」と、我が国の言語文化への理解を深める科目「言語文化」を設定するとともに、選択科目として「論理国語」、「文学国語」、「国語表現」、「古典探究」を設定する。 2.社会、地理歴史、公民 ・グローバル化、持続可能な社会の形成、産業構造の変化、防災・安全への対応、海洋や国土の理解、主権者の育成等の現代的な諸課題に対応して必要な内容を見直す。具体的には、高等学校における必履修科目への接続の観点も踏まえ、小学校では、世界の国々との関わり、政治の働き、地域社会、生活や産業の変化、自然災害等、中学校では、地球規模の課題、防災・安全、世界の歴史、起業、政治等に関する指導を充実する。 ・高等学校地理歴史科では、世界史必履修を見直し、世界とその中における日本を広く相互的な視野から捉え近現代の歴史を考察する「歴史総合」、持続可能な社会づくりを目指し、現代の地理的な諸課題を考察する「地理総合」を必履修として設定するとともに、発展的に学習する選択科目として「日本史探究」、「世界史探究」、「地理探究」を設定する。 ・高等学校公民科では、現代社会の諸課題を捉え考察し、選択・判断するための概念や理論を習得し、自立した主体として国家・社会の形成に参画する力を育成する「公共」を必履修として設定するとともに、発展的に学習する科目として「倫理」、「政治・経済」を設定する。 ・小・中・高等学校を通じて、社会との関わりを意識して課題を追究したり解決したりする活動を重視する。 3.算数、数学 ・社会生活などの様々な場面において、必要なデータを収集して分析し、その傾向を踏まえて課題を解決したり意思決定をしたりすることが求められていることから、小・中・高等学校教育を通じて統計的な内容を充実する。 ・高等学校において、統計に関する学習の充実や数学を積極的に活用する態度を育成する観点から、新たに「数学C」を設けて高等学校数学科を「数学Ⅰ」、「数学Ⅱ」、「数学Ⅲ」、「数学A」、「数学B」、「数学C」に再編する。各学科に共通する教科「理数」に「理数探究基礎」及び「理数探究」を新設することなどを踏まえ、「数学活用」を発展的に廃止するが、その内容を「数学A」、「数学B」、「数学C」に移行する。 ・小・中・高等学校教育を通じて、日常生活や社会の事象や数学の事象から問題を見いだし主体的に取組む数学的活動の充実を図る。 4.理科 ・小・中・高等学校教育を通じて、知的好奇心や探究心をもって、自然に親しみ、見通しを持って観察・実験を行い、その結果を整理し考察するなどの探究的な学習の充実を図る。 ・「エネルギー」「粒子」「生命」「地球」のそれぞれの領域における特徴的な視点を整理し、各領域に関する学習の改善を図る。 ・各学科に共通する教科「理数」に「理数探究基礎」及び「理数探究」を新設することなどを踏まえて、「理科課題研究」を発展的に廃止する。 5.高等学校の数学・理科にわたる探究的科目 ・数学や理科における「見方・考え方」を活用しながら、数理横断的なテーマに徹底的に向き合い考え抜く力を育成するため、数学と理科の知識・技能を総合的に活用して主体的な探究活動を行う新たな選択科目を設置する。 6.生活 ・体験的な学習を通じて、どのような思考力・判断力・表現力等の育成を目指すのかが具体的になるよう、各内容項目を見直す。 ・試行・予測・工夫することなどを通して新たな気付きを生み出すことや、伝え合い表現する学習活動を行うことで学びを振り返り、気付きの質を高めることを重視する。 ・生活科を中心としたスタートカリキュラムの工夫により、幼児期の体験的・総合的な学びから徐々に意図的・系統的な学びへと円滑に移行していくことを促す。 7.音楽、芸術(音楽) ・感性を働かせて、他者と協働しながら、音楽表現を生み出したり音楽を聴いてそのよさや美しさなどを見いだしたりすることができるよう、内容の改善を図る。 ・音や音楽と自分との関わりを築いていけるよう、生活や社会の中の音や音楽の働き、音楽文化についての理解を深める学習の充実を図る。 ・高等学校芸術科(音楽)において表現と鑑賞の学習に共通に必要となる資質・能力を〔共通事項〕として示す。 8.図画工作、美術、芸術(美術、工芸) ・感性や想像力等を働かせて、表現したり鑑賞したりする資質・能力を相互に関連させながら育成できるよう、内容の改善を図る。 ・生活を美しく豊かにする造形や美術の働き、美術文化についての理解を深める学習の充実を図る。 ・高等学校芸術科(美術、工芸)において表現と鑑賞の学習に共通に必要となる資質・能力を〔共通事項〕として示す。 9.芸術(書道) ・感性を働かせて、能動的に、表現を構想し工夫したり作品の意味や価値を見いだしたりする学習となるよう、内容の改善を図る。 ・国語科書写との円滑な接続を図るとともに、生活や社会の中での文字や書の働き、書の伝統と文化についての理解を深める学習の充実を図る。 ・高等学校芸術科(書道)において表現と鑑賞の学習に共通に必要となる資質・能力を〔共通事項〕として示す。 10.家庭、技術・家庭 ・家庭科、技術・家庭科家庭分野においては、家族・家庭生活、乳幼児、高齢者、食育、日本の生活文化、金銭管理、消費生活や環境に配慮したライフスタイル、生涯の生活設計等に関する内容や学習活動を充実する。 ・技術・家庭科技術分野においては、情報の技術に関して、プログラミングや情報セキュリティについて充実する。また、知的財産を創造・保護・活用する態度や技術にかかわる倫理観の育成等を重視する。 ・高等学校は、「家庭基礎」、「家庭総合」の2科目からの選択必履修とし、自立した生活者として必要な生活の科学的な理解や生活課題を解決する力等の育成を充実する。 11.体育、保健体育 ・心と体を一体としてとらえ、生涯にわたる心身の健康の保持増進や豊かなスポーツライフの実現を重視し、健康に関する概念や「する・みる・支える・知る」の多様な関わりと関連付けて内容等の改善を図る。また、体力や技能の程度、年齢や性別及び障害の有無等にかかわらず、運動やスポーツの多様な楽しみ方が共有できるよう配慮する。 ・運動やスポーツの習慣化につなげる観点から、体つくり運動の内容等について改善を図るとともに、オリンピック・パラリンピックに関する指導を通して、スポーツの意義や価値等に触れることができるよう内容等の改善を図る。 ・心の健康、現代的な健康課題の解決に関わる内容及び一次予防のみならず、二次予防や三次予防に関する内容の改善を図る。また、けがの手当や心肺蘇そ生法等の技能に関する内容の改善を図る。 12.外国語 ・各学校段階の学びを接続させるため、育成する資質・能力を三つの柱に整理した上で、国際的な基準であるCEFRなどを参考に、小・中・高等学校で一貫した「聞くこと」「読むこと」「話すこと(やりとり)」「話すこと(発表)」「書くこと」の五つの領域別の目標を設定する。 ・小学校では、中学年から「聞くこと」「話すこと」を中心とした外国語活動(年間35単位時間)を導入し、外国語に慣れ親しみ、学習への動機付けを高めた上で、高学年から段階的に文字を「読むこと」「書くこと」を加え、系統性を持たせた指導を行う教科(年間70単位時間)として位置づける。 ・中学校では、互いの考えや気持ちなどを外国語で伝え合う対話的な言語活動を重視し、授業を外国語で行うことを基本とするとともに、具体的な課題等を設定するなどして、学習した語彙・表現などを実際に活用する活動を充実させ、言語活動の実質化を図る。 ・高等学校では、「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」を総合的に扱う科目群として「英語コミュニケーションⅠ・Ⅱ・Ⅲ」を設定し、Ⅰを共通必履修科目とするとともに、外国語による発信能力を高める科目群として「論理・表現Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」を設定する。 13.情報 ・共通必履修科目として、問題の発見・解決に向けて、事象を情報とその結び付きとして捉え、情報技術を適切かつ効果的に活用する力を全ての生徒に育む「情報Ⅰ」を設定。全ての高校生がプログラミングによりコンピュータを活用する力を身に付けられるようにする。 ・選択科目として、「情報Ⅰ」の基礎の上に、情報システムや多様なデータを適切かつ効果的に活用する力や、情報コンテンツを創造する力を育む「情報Ⅱ」を設定。 ・コンピュータについての本質的な理解に資する学習活動としてのプログラミングや、より科学的な理解に基づく情報セキュリティに関する学習活動などを充実するとともに、統計的な手法の活用も含め、情報技術を用いた問題発見・解決の手法や過程に関する学習を充実する。 14.主として専門学科において開設される各教科・科目 ・専門学科においては、我が国の産業経済の発展を担う人材を育成する、又はその他の特定の分野における専門的な人材を育成する。 〔職業に関する各教科・科目〕 ・各職業分野についての体系的・系統的な理解や関連する技術の習得、課題を発見し職業人としての倫理観をもって合理的かつ創造的に解決する力や豊かな人間性、よりよい社会の構築を目指して自ら学び、産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度など、社会を支え産業の発展を担う職業人として必要な資質・能力の育成を重視する。 ・社会や産業の変化の状況等や学校における指導の実情を踏まえて、持続可能な社会の構築、情報化の一層の進展、グローバル化への対応等の視点から教育内容の改善を図ることとし、例えば農業等における経営感覚の醸成や、商業における観光に関する学習の充実等の見直しを実施する。 〔その他の専門教育に関する各教科・科目〕 ・専門分野ごとに求められる資質・能力を、関係団体等との間で共有しつつ明確化し、一人一人の生徒の進路に応じた多様な可能性を伸ばすために、より高度で専門的な学習ができる科目構成に見直す。 15.道徳教育 ・小・中学校では、平成27年3月に学習指導要領等の一部改正を行い、「特別の教科 道徳」を新たに位置づけており、それに基づき「考え、議論する」道徳の授業への転換を図るとともに、各教科で「学びに向かう力、人間性等」を育てることで道徳性を養う。 ・高等学校では、特別活動及び公民科における「公共」「倫理」を中核的な指導場面として関連付けを図り、学校全体で人間としての在り方生き方に関する教育を進める。また、小中学校の内容とのつながりを意識しつつ生徒の実態に応じて重点化した全体計画を作成するとともに、新たに道徳教育推進教師を置くこととする。 ・いじめへの対応、情報モラル等の現代的な課題への対応に加え、積極的な社会参画、障害者理解(「心のバリアフリー」)に関する取組の充実を図る。 16.特別活動 ・「人間関係形成」「社会参画」「自己実現」の三つの視点を踏まえて目標及び内容を整理し、各活動の趣旨をより明確化する。また、小・中・高等学校を通じて学級(ホームルーム)経営との関連を図ることを明確化する。 ・学級活動・ホームルーム活動の内容構成を見直し、小・中・高等学校を通じて、学級・ホームルームの課題を自分たちで見出して解決に向けて話し合う活動を重視すること、学校教育全体で行うキャリア教育の中核的な役割を果たすことを明確化する。 ・主権者教育の視点、防災を含む安全教育、自然の中での集団宿泊活動の充実を図る。キャリア教育に関わる活動に関して記述し振り返る「キャリア・パスポート(仮)」を作成し活用を図る。 17.総合的な学習の時間 ・総合的な学習の時間の目標は、各学校の学校教育目標を踏まえて設定することとするなど、目標や内容の設定についての考え方を示す。 ・総合的な学習の時間を通して育成する資質・能力について、探究のプロセスを通じて働く学習方法(思考スキル)に関する資質・能力を例示するなどの示し方の工夫を行う。 ・高等学校の総合的な学習の時間を、小・中学校の成果を踏まえつつ、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、生涯にわたって探究する能力を育むための総仕上げとして位置づける。名称を「総合的な探究の時間」とし、主体的に探究することを支援する教材の導入も検討する。 【トップに戻る】 【関連記事】 ◯小学校英語など平成30年度から移行措置 答申案了承へ ◯どう見る? 次期学習指導要領の答申案 〇【最新】次期学習指導要領の関連記事

次期学習指導要領に向けた「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策について」(答申(案))が、12月16日、文科省の初等中等教育分科会(座長・小川正人放送大学教授)において、座長一任で了承された。

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