へき地教育・特支教育研究を助成 実践概要は

へき地校と大規模校が交流
へき地校と大規模校が交流

(公財)みずほ教育福祉財団(森信博理事長)は、今年度のへき地教育研究(交流学習2年目継続)と特別支援教育研究の助成金贈呈式を6月10日、東京都千代田区のみずほ銀行内幸町本部ビルで開いた。

へき地教育研究助成では、へき地校が都市部の大規模校や環境の異なる学校と交流する実践を支援。初年度助成校の中から、質の高い実践と今後の計画が認められた宮城県石巻市立東浜小学校など4校に、2年目継続助成金が各40万円ずつ贈られた。特別支援教育研究助成は、千葉県我孫子市立我孫子第二小学校の金子道子教諭など3校の教員に各50万円贈呈された。

森理事長は「財団運営が厳しい中で、十分な支援ができない面もあるが、何よりも取り組みを継続する大切さを実感している」などとあいさつ。来賓の文科省初中局の小松親次郎局長は「教育は未来への先行投資。官民それぞれの立場で力を尽くすのが大切。同財団の取り組みが今後の教育の発展に資するのを期待している」と述べた。

継続助成を受けた4校の活動概要は――。

(1)宮城県石巻市立東浜小学校(へき地1級/漁業地、佐々木千早校長、児童数14人)=相手校は宮城県栗原市立鶯沢小学校(住宅地、児童数120人)。共に東日本大震災の被災地校で、相互訪問交流を行う。夏と秋に宿泊交流をし、石巻市では海でのシュノーケリングや基幹産業の牡蠣養殖を体験。栗原市では山や川での里山散策、生きもの探し、野外炊飯などの自然体験活動を行った。両地域の自然や産業にふれる交流を通じて震災の傷を互いに癒やし、未来に向けた希望を育む取り組みにつなげている。

(2)福島県西郷村立川谷小学校(準へき地/山間地、宍戸広子校長、児童数28人)=相手校は宮城県亘理町立荒浜小学校(臨海地、児童数113人)。川谷小では、東日本大震災による原発事故後、村内で除染作業が続き、学校でも放射線教育が行われた。荒浜小も大震災被災地にある。夏と秋に相互訪問による宿泊体験交流を実施。6月に相手校を2泊3日で招き、阿武隈川の源流探検活動を行う。9月は相手校に1泊2日で訪問。漁船に乗ったり郷土料理作ったりする。防災学習にも取り組む。

(3)新潟県佐渡市立小木小学校(へき地2級/離島、三浦一富校長、児童数73人)=相手校は同県上越市立国府小学校(臨海地、児童数420人)。日本海を挟んだ航路で結ばれた臨海部の学校同士が交流。小規模校の小木小児童は視野を広げ、互いの郷土理解を深めていくのを目標にした。小木小を訪れた相手校は「直江津の魅力」と題した総合的な学習での地域探究の成果を発表。小木小は民謡クラブの演奏や組おけさを披露した。相手校への訪問時には、総合的な学習で探究した佐渡の金銀山の歴史をテーマにした成果劇を発表。発信力を磨きながら郷土愛を深める学びとした。

普段はできない体験をした
普段はできない体験をした

(4)鹿児島県宇検村立田検小学校(へき地5級/離島、平島勝彦校長、児童数55人)=相手校は同県鹿児島市立中山小学校(市街地、児童数1232人)と宮城県七ヶ宿町立七ヶ宿小学校(山間地、へき地1級、児童数54人)。6月の修学旅行で授業参観などの訪問交流を行う。田検小児童は、大規模校の相手校児童に対して堂々とあいさつ。七ヶ宿小とは夏と冬の相互訪問による宿泊体験交流を行った。8月に相手校を3泊4日で招待し、バナナボートやダイビングなどマリンスポーツを楽しんだ。12月は相手校を3泊4日で訪れ、スキーやかまくら作りを体験。東日本大震災の被災地見学も行った。

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特別支援教育研究助成を受けた3教員の実践は――。

(1)金子千葉県我孫子市立我孫子第二小学校教諭の研究課題は「通常の学級担任の特別な教育的ニーズのある児童への理解向上を目指した校内研修の在り方」。通常学級の教員が特別な教育的ニーズのある児童への理解を深め、適切な支援と対応力を磨く校内研修を工夫。特別支援学級と通常学級の教員を協働させ、通常学級に在籍する特別な教育的ニーズのある児童の特性や必要な支援、配慮を整理。児童の交流や共同学習の様子に着目し指導力向上を図った。

(2)待木浩一福岡県立築城特別支援学校教諭の研究課題は「知的障害を併せ有する肢体不自由児のコミュニケーション指導における実践」。視線入力装置を使い、知的障害をもつ肢体不自由児が思いを伝えられるようになるための実践研究を推進。重度重複障害児が視線で思いを伝える自立活動に向けて、入力装置導入から、段階に応じた効果的な指導について検討した。

(3)田中秀明鳥取県立白兎養護学校教諭の研究課題は「知的障害特別支援学校生徒の継続的就労につながる教育活動の検討」。児童生徒が学校で学んだものを、将来の家庭、地域、職業、社会生活の中で生かせる実践を追究。キャリア教育の視点から学校の「育てたい児童生徒像」を捉え直した。卒業生の保護者へのアンケートや卒業生への追跡調査を実施。継続的就労に向けたキャリア教育テキストなどを作成した。

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