読書の日常化から言語活動推進 千葉県市川市立冨貴島小学校

公共・学校で大きな図書館に 海外作家による講演会も

課題解決のために必要な図書を探す
課題解決のために必要な図書を探す

千葉県市川市(以下、本市)では、昭和30年代から「読書教育」の推進を図ってきた。中でも本校は、パイオニア校として文部省(現文部科学省)の研究指定を受け、1976(昭和51)年から道徳教育を母体とした「読書教育」をスタートさせた。現在まで40年にわたるこの研究は、本市が行っている「学校図書館ネットワーク」の確立へとつながる契機となった。

「読書教育」は、「後伸びする力」の育成であり、そのために一人でも多くの本好きな児童を育てたいという、教員の願いから生まれたものである。本市では「生きる力・夢や希望を育む学校図書館」という学校図書館像を掲げ、「生涯にわたって学び続ける市民の育成」を目指している。これらの考え方は、新学習指導要領が示す「社会に開かれた教育課程」に通じるものである。生涯にわたって学び続けるためには、学びに向かう力が必要となり、その素地形成の一端を担うのが学校図書館活用である。

本校では「読書の日常化」を切り口として「言語活動」の推進を図ってきた。現在は、「豊かな心を求めて 児童生徒の主体的・対話的な学びを育む言語活動の探究~実生活で生きて働く読む能力の育成~」を研究主題に掲げ、「国立教育政策研究所学習指導実践協力校」および「日本学校図書館学会研究校」「本市教育委員会学力向上推進校」の研究指定を受け、国語科の研究を通して教職員一丸となって児童の育成に励んでいる。 学習のゴールを定め、目指す児童の姿を見据えた指導計画を立て、その中で、学校図書館をどの場面で、どのように、どのくらい活用すればよいかを常に見極めながら、研究主任を中心に推進を図っている。若年層教諭も多く、学校図書館活用の指導技術が未熟な面もみられるが、OJTを踏まえた校内研修を実施し技術の継承を行っている。本市教育委員会では、2016年度から教職4年目を対象とした「学校図書館活用研修」を悉皆(しっかい)で行い、全ての教員が学校図書館を授業の中で、効果的に活用できるように育成している。

16年度の調査結果では、学校図書館活用研修を受講した教員が行った授業を受けた児童生徒の6割近くが「本を読んだら、他の本も読みたくなった(1991人/3287人)」、3割以上の児童生徒が「本で調べたら他のことも調べたくなった(1099人/3287人)と答えた。この結果は、学校図書館の活用が、新学習指導要領が示す「主体的な学び・学びに向かう力」の育成につながっていることの表れであると推察される。さらに、教職員の意識も向上し、研修前後に実施したアンケート調査からは「まとめる力・判断力・知識活用力」等が、研修前より研修後の方が有意に高いという結果が得られた(児童の問題解決過程における情報活用の実践力尺度(奥木他2005)、および学校図書館の活用における指導観・期待感尺度(本市独自2016)による)。

学校における図書活用を支えるのが、本市学校図書館支援センターが担う、公共図書館と学校図書館をつなぐ「学校図書館ネットワーク」である。学校規模にかかわらず、全ての学校に司書教諭と学校司書を配置し、学校長を学校図書館長として、司書教諭を中心とした校内学校図書館部会を設置し、全教職員で共通理解を図っている。また、学校間および公共図書館と学校相互の図書の物流ネットワークを活用して、必要な図書がすぐに手に入るシステムを構築している。このシステムによって市内の公共図書館と学校図書館は一つの大きな図書館となり、児童生徒の学びを強力に支えているのである。

さらに、本校では保護者による図書ボランティア活動も充実しており、児童の学習を支えている。環境整備・イベント・学習サポートに分かれ、学校図書館の装飾、大型紙芝居の作成・講演、読み聞かせ、本の修理を行っている。

読書行事も盛んで、今年度(18年度)は、5月28日に、ニュージーランドの児童文学作家であり音楽家でもあるクレイグ・スミス氏を招いて、作家講演会を予定している。作家講演会は、毎年PTAの援助により、読書月間に合わせて行っている読書行事の一つである。海外から作家を招くのは初めてであるが、本市は、今年度より5・6年生の外国語科および、3・4年生の外国語活動を先行実施するため、この講演会に合わせて外国語の図書の多読を計画し、図書に親しむだけでなく、他言語への興味関心も深めていきたいと考えている。新学習指導要領における外国語科の目標「聞くこと・読むこと・話すこと・書くこと」は、国語科にも通じるものである。ゆえに、本校の図書を活用した国語科研究との横断的な指導も可能であり、さらなる学びの広がりが期待できる。(教頭・富永香羊子=現・市川市立行徳小学校)


【学校図書館特集】トップページに戻る