第6回ESD大賞の実践紹介 小学校賞

NPO法人日本持続発展教育(ESD)推進フォーラム主催の第6回ESD大賞受賞校(平成27年度)の受賞校実践集から、小学校賞、審査委員特別賞の実践を紹介する(要約、編集は本紙編集部)。今年度の第7回について、募集の詳細等は近く発表される。

小学校賞 横浜市立永田台小学校
教員から広がる変容 今ある「よさ」を生かす
〇全員納得でESD

本校では、ESD! ESD! と、力を入れて取り組むのではなく、子どもとじっくり向き合い、本音で関わる時間を確保し、そしてつなげていくことが大切だと考えている。ESDは再方向づけである。今ある「よさ」を見いだし、それを満たしていくことこそがESDのスタートである。

ESDの基盤は、ケアリング。それは、学校全体に安心感や充実感を感じられるような雰囲気をつくること。まず大人が互いのケアを心がけ、笑顔でつながる関係が欠かせない。笑いの絶えない職員室では、教員同士がよく語り合う。年度初めには、各学年の年間計画を、ホワイトボードを囲み全教員でワイワイ言いながら作っていく。自分の学年だけでなく、過去に担任した学年、子どもたちを気にしながら作ることで、学年内外のつながりや子どもの成長、課題も共有できる。教科横断や総合的・関連的・系統的な学びも見えてくる。

分かりにくいといわれるESDだからこそ、職員が納得して進める営みが大切である。

〇サスティナブルマップ

子どもの「価値観や行動、ライフスタイルの変容」を通し、持続可能な社会形成をめざすため、普遍的なモデルはなくとも、あるイメージを与えてくれるようなものがあればよいとの考えから、学校の「よさ」を視覚化する「サスティナブルマップ」を作成する。

絵をつくるとともに、付箋を用いて、「永田台のよいところ」「続けていきたいこと」を絵の上に増やしていく。よさを見つけていく中で、課題が見えてくる。よさはマップに生かし、課題は「すぐになんとかすること」「どうしたらよいか考えること」「話し合うこと」等に分け、職員室の目のつくところに貼っておく。角度を変え、学校の日常の中にあるよさや持続可能性を見つめることで、教員一人ひとりの意識や行動が変わっていった。

さらに保護者の協力も得て集まった「よさ」は100個を超え、「子どもを取り巻く環境・自然・中心に据えている大切な『命』」「先生たちが元気!」「子どもたちも元気!」「保護者・地域の方と、そして世界とつながる」の4つの項目に分け、一つひとつを絵に表していった。作って終わりではなく、この「よさ」を持続させていくために、現在は、このマップをもとにしたESDの学校評価の仕組みを作成している。

もみじアプローチの図
もみじアプローチの図
〇もみじアプローチでホールスクールアプローチ

本校のホールスクールアプローチは、まるでもみじが色づくように、ゆっくりゆっくり、でもしっかり染まっていく「もみじ」をイメージしている。左の図は、ESDが徐々に学校の中に染み込み、持続可能な教育が地域へと広がっていくのを示している。無意識の取り組みから、地域の課題を引き受け持続可能な地域社会のコアとしての学校になるまでの7段階に分けた指標である。染まっていくスピードは同一ではないが、大人も子どもも悩んで、行きつ戻りつしてよい。ESDはそういう日々の営みであると考える。

〇変化を起こす研究・研修へ

研究・研修では、職員同士、互いをケアしながら、あらゆるつながりを生かし、個性を発揮して授業をつくろうとしている。「こうしなくてはならないのでは」と考えがちだった従来の研究の進め方や形骸化した研修から抜け出し、「主体的に学び続ける教師の姿こそ子どものモデルとなる」を合言葉に、研究会の進め方、在り方についても改善を重ねている。

授業デザインの中心に「目指す子どもの価値変容」を置くことで、授業が目指すところをはっきりさせている。教師が指導案づくりに時間をかけすぎたり、詳細にわたって書き、決めすぎてしまうことから自由になることで、より柔軟に、子どもの主体性や思考の流れを大事にすることができるようになった。

授業デザイン検討の時間も、授業後の研究会でも、教員が主体的な思いで参加部会や話し合いたいことを選べるようにしている。「今日の自分の問題意識」「何を話し合いたいか」を出し合い、共有してからグルーピングし、途中でボードを見合ったりグループを変えたりし、あらゆる角度から考えられるようにしている。グループで話し合われたことを、共有の時間を設けて全体化し、「今日のGAP(グローバル・アクション・プラン=自分が取り組むこと)」を設定して終了する。

保護者や地域から信頼の声を寄せられて教師が変容し、子ども、学校、地域の変容へと広がる好循環が実現していると実感している。

第8回ユネスコスクール全国大会(ESD研究大会)概要
▽開催日時=12月3日午前10時~午後5時
▽会場=金沢大学角間キャンパス(石川県金沢市角間町)
▽主な内容(予定)
・テーマ別交流研修会
・パネルディスカッション
・ランチョンセッション
・展示発表
※プログラム、参加申し込み方法などは順次発表。

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