【連載】ESDの魅力 その9 SDGsの実現を目指そう

業種を超えて真剣に考えるワークショップ
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そもそもESDは何のために必要なのか――。

これまで「どのように」「何を」から始めるESDが目立っていた。だから、何をやって、どんな出来栄えだったかが評価されてきた。それではこれまでの教育と何も変わらない。持続不可能な状況を抜け出し、希望と期待に満ちた持続可能な未来のための教育を創造しようとしていたはずである。ESDで深い次元での変容をもたらすためには、一刻も早く「どのように」「何を」から始まるESDに囚われず、「なぜ」から始まるESDへの転換が必要である。

そんな中、SDGs(国連持続可能な開発目標)が、企業や行政で、一気に広がりを見せている。しかし、一般の人にとって、地球規模の課題といっても、どうも身近ではなく、他人事だし、切実感がない。

例えば、国連世界食糧計画(WEP)の調査によれば、現在、世界の死因の第1位は「飢餓」である。約70億人いる世界人口のうち、約10億人が飢餓に苦しみ、毎日平均して2万5千人もの5歳未満の子供が飢餓を原因とする病気で亡くなっている。日本ではこの事実を何となく知っているものの、実感はできていないだろう。

また平成25年9月に農林水産省から発表されたデータによると、日本では、年間約500~800万トンの食品ロスがあると推計されている。これは日本人1人が、おにぎり1~2個を毎日捨てている計算になる。毎日1億個以上のおにぎりが捨てられているということだ。世界の食料援助総量は470万トンなので、日本人がどれだけ多くの食料を捨てているか分かる。しかも、食品ロスの約半分は家庭で捨てられているのだ。

一人ひとりの意識や心がけで食品ロスは減らせる。食料がなくて飢えている人がいる一方で、食べられる食料を捨てている人がいる。その問題に、どれだけの人が気付いているだろうか。

横浜市立永田台小学校では、「消費期限と賞味期限を把握する」「必要以上に物を買わない」「Freezer Revolution!」といって、冷蔵庫整理をした子供もいた。

日本においても子供の6人に1人は貧困(相対的貧困)であるともいわれているが、どれくらい実感できている人がいるだろうか。自分事として切実な問題と捉えているだろうか。

少子高齢社会を迎えた日本において、未来への不安は大きく、みんな、漠然とした不安を抱えて過ごしている。

なぜESDなのか――。地球に生きる全ての人が、「生まれてきてよかった」「長生きしてよかった」と思える社会にするために、今の時代を生きる私たちが真剣に未来を考えなければならない。今、私たちが目の前の問題に真剣に向かい合わなければ、これからの時代を生きる子供たちに全てのツケを払わせることにもなる。

一人ひとりが気付き、意識が変わっていくことが、そもそものESDの本質だと考える。ESDこそが未来をつくる教育。SDGsの実現のために、ESDの魅力を広く伝えていきたい。

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