思考し探究する力をICTで 総合的な学習で研究を推進

あらゆる学習でICTの有効活用を図る(5年社会科・松森佳子教諭の授業から)
あらゆる学習でICTの有効活用を図る(5年社会科・松森佳子教諭の授業から)
パナソニック教育財団の特別研究指定校 大阪市立堀江小学校

子供たちがICTを有効活用し、自分なりの課題を見いだし、探究する学びを探る——。大阪市立堀江小学校(中山大嘉俊校長、児童数943人)は、パナソニック教育財団の第41回特別研究指定校に選定された。同財団の助成を得て、平成27年度からの2年間で「ICTを活用した思考力、判断力、表現力を育む授業の創造」をテーマに、実践研究に力を注いでいる。教科学習でのタブレット端末利用などが進む中で、総合的な学習で児童が主体的に取り組む協働学習を促進しようと、地域や学外連携の学びを充実させている。

■課題を発見し探究へ

同校は平成25年度に大阪市教委「学校教育ICT活用事業」のモデル校指定を受けるなど、早くから教育の情報化に取り組んできた。現在、全普通教室への電子黒板配置や全校で約200台のタブレット端末などを整備。全学年のあらゆる教育活動でICTを使った授業を実施している。

中山校長は「全教員がICTを活用した実践研究に熱心に取り組んでいる。今はどの授業でも電子黒板やデジタル教科書、タブレット端末を使うのが当たり前になった」と話す。その一方で、「学習スタイルは、教師が教科などの目標達成に向けて敷いた線路に沿った展開になりがち。ともすると、設定された目標にしか目が向かない『優等生』的な授業が課題」と指摘する。

そこでこれからの子供に必要な主体的、探究的、協働的に学ぶ力と、そのために必要な思考・判断・表現力の育成に向けた実践を追究。学習ツールとしてのICTが効果的に生きる視点を探った。

子供たち自身で課題を探り、発見し、意欲的に学ぶ力を身に付けさせるため、教科書がない総合的な学習に着目。教師はもとより、学習者の子供自身が学びの経過や蓄積を多様な観点で見られるようルーブリック評価を考慮。これには、教員に子供たちがより良い気づきを持てるようにするための関わり方や支援を意識してもらうなどの幅広い指導力を身に付けさせるねらいがある。

■地域を巡り多様な追究

総合的な学習では、多様な協働や学外連携を推進。4年生の地域探究では、防災教育の観点も織り交ぜ「安全マップづくり」などに取り組んだ。グループでタブレット端末などを持ち出し、地域を探検。それぞれが発見し、見いだした避難場所や安全な避難ルートなどをオリジナル地図にまとめた。

地図には、南海トラフ地震で想定される震度や津波規模を記述。地域の地理特性を踏まえた津波の襲来予想と安全な避難行動アドバイス、具体的な避難場所の公園や食糧備蓄がある学校なども示している。全国の学校での防災教育や安全マップを示し、共有し合う「防災サミット」にも参加。児童も教員も多様な実践に学び、刺激と交流の輪を広げている。

校名の「堀江」つながりで、全国の学校との多様な協働教育も行う。愛媛県松山市立堀江小学校とは、スカイプも利用して互いの学校や地域を伝え合う活動を推進。相手に自分の学校や地域の良さを吟味して伝える中で、自校や地域の素晴らしさを再発見した。相手に分かりやすいプレゼンや資料作成に苦慮しながら、伝わる内容や伝える意識、視点にも磨きがかかった。

校内委員会活動の説明や引き継ぎでも、ICT機器をプレゼンツールとして活用。上級生が下級生に活動内容や注意点を説明する中で、相手を想定した題材設定や情報発信力を育んでいる。

児童が自分なりの課題を持つ気づきになるよう、さまざまな職業人を招いた講演や学校図書館での自学学習機会の充実も図る。

同校長は「学びのさらなる高みを目指したい」と願い、「子供に黒板を渡そう」と強調。児童主体の課題発見、探究型学習の一層の充実に力を尽くす。ICTはそのための学習ツールとして有効と指摘。学習のねらいに応じて従来の紙の教科書やノートなども織り交ぜ、子供が作り出す授業の実現に力を注ぎたいと述べる。