児童の協働的学びを深化 タブレットで調査の成果や根拠示す

ペアを組みタブレットで主張の根拠となる資料やデータを提示
ペアを組みタブレットで主張の根拠となる資料やデータを提示
(公財)パナソニック教育財団特別研究指定校 兵庫県芦屋市立精道小学校

(公財)パナソニック教育財団の特別研究指定校に選ばれている兵庫県芦屋市立精道小学校(谷川久吉校長、児童数694人)は、タブレット端末などを生かした課題解決型学習の在り方を探究しており、11月25日の発表会で、これまでの実践成果を示した。児童の協働的な学びとその深化を見据え、ICTの効果的な活用策を探った。6年生の社会科では、戦後高度経済成長が現在の日本に与えた影響を、良いか悪いかの立場で協議。同端末に各自の調査成果と主張根拠を映し出し、深まる話し合いに役立てた。

■タブレットで主張の根拠を明確化

6年3組社会科の授業公開では、戦後高度経済成長の功罪を討論し、吟味した。西野史識教諭が指導した。児童たちが同経済成長の影響を、良いか悪いかの立場別に主張しながら検討を深めた。

児童たちはこの学習に向け、経済成長に関する思い思いの調べ学習を進めてきた。良い点では、▽失業率の低下▽高校進学率の上昇▽家電三種の神器の普及率アップと生活が楽で便利に――など。悪い点では、▽過疎過密による交通事故の多発▽都市部への人口移動で物価高に▽公害問題の発生――に着目した。主張の根拠となる資料も、教科書や書籍などから幅広く収集している。

各自が着目したテーマには、思考ツールを使った分析も交えた。観点は▽人の心▽経済▽環境――の3つ。良い悪いの影響別にこの総合的視点を見据え、着目テーマの追究を図った。

黒板には、児童がそれぞれ調べてきた経済成長の影響を記述。内容を良い悪い別に分け、立場ごとに熱い主張を交わした。一方で、互いの主張をしっかり丁寧に受け止める傾聴も重視した。

児童はペアで主張の根拠となる資料やデータをタブレット端末に提示。大型テレビにも、「家電機器三種の神器普及率表」など、それぞれの根拠内容を映写した。同教諭は、同端末活用の良さとして、児童が手元で端末操作をしながら主張の根拠を確認し、しっかりした説明につなげられる点を指摘する。

端末を生かす中で、多様な主張と検討が深まっていく。犯罪や進学率、所得向上など幅広い視点で議論が進んだ。同教諭は拡大した協議テーマを「公害の発生」「経済力向上」に絞り込み、再度検証させた。

児童は、「経済的に豊かになっても健康が損なわれたら問題」「繁栄は都市部中心で地方や農村は恩恵が得られていない」などと発言。多様な社会制度の充実と合わせ「この時期の経済成長が長期的に見ると幅広い日本の繁栄に役立っている」といったコメントもあった。互いの思考が深まる中で、視野の広い豊かな発想に基づく意見が飛び交うようになった。

■芦屋発アクティブ・ラーニングを目指す

同校の今年度研究は、「芦屋発、課題解決型学習の開発(アクティブ・ラーニング)」がテーマ。児童が主体的に学ぶ力、協働を通じて自他の思考力と判断力と表現力を磨く実践の在り方を探る。そんな目標に迫る効果的な学習ツールとなる「ICT活用」も重視。ただし、ICT利用に過度に引きずられない点も配慮する。

児童のICT活用状況を踏まえ、教師が学年とクラスに応じた研究課題を設定。学び合いや教科目標の達成、児童理解への有用策を探るようにした。単元を貫く課題解決型学習、児童の変容や思考活動をサポートする学習指導案の工夫も配慮している。

■研修会で教師の気付きを共有する

児童の学び合いと課題解決力を高めるために、教師同士の研さんも欠かせない。同校では、教師が低・中・高学年別や全員で一堂に会する授業協議を、学期に1回行うようにしている。

各教員が授業観察し子供の学ぶ様子などをタブレット端末で記録。研修会では、大型テレビに投影した指導案に沿って各自の気付きを添付する。添付資料は子供の様子の写真や一言コメントなど。貼り出された資料を共有し、授業経過と学習段階に応じたねらいを見つめて研究を深めた。

それぞれの発見や課題意識を話し合いながら、より有効で具体的な授業改善に役立てている。