チャレンジ!お菓子の株式会社 児童が企画しプレゼン

完成したパッケージを確認する児童
完成したパッケージを確認する児童

東京都渋谷区立中幡小学校(宮田俊明校長、児童数314人)は3月5日、土曜授業で日本証券業協会による出前授業を実施した。同協会が小・中学校向けに開発したプログラム「チャレンジ! お菓子の株式会社」を使用。会社経営の疑似体験を通して、児童が株式会社の仕組みを学んだ。

新商品の企画を考えよう

当日は、6年2組の授業が公開された。

授業は、身の周りにある会社を思い出すところからスタート。「テレビといえば?」「ピアノといえば?」「ゲームといえば?」「携帯電話といえば?」などの問いかけを糸口に、児童が会社の名前を列挙した。株式会社が身近にたくさんあるのを実感できた。

次に、株式会社の基本的な仕組みについて説明を受けた。銀行から資金を借りる仕組みや投資の方法、株式の発行、株式会社と株主の関係、事業活動の流れなどを知った。

基本的な知識を押さえて、いよいよ「株式会社体験」が始まった。児童に課されたのは、お菓子の新商品企画。新しい機械と材料を手に入れるため、投資に応じてくれる人が多く集まるような新商品を考案する。

児童は、(1)3、4人のグループで会社をつくり、新しい商品とパッケージを開発(2)開発した商品を全員の前で発表(3)発表を聞き、株主の立場として、投資したい会社に投票――の工程で取り組んだ。

まず、グループ内で会社名と社長を決定。同協会の授業者からは、「会社名がなかなか決まらないときは、社長を先に決め、社長の名前を会社名にするといい。メンバーの名前を組み合わせて名付けてもいいですね」とのアドバイスがあった。

その後、お菓子の企画会議に入った。同協会のテキストには、「お菓子の種類は?」「どういう人に食べてもらいたいか(想定する客層)?」「商品のセールスポイントは?」「商品名は?」などの問いかけがあり、児童が企画を練る際の手がかりがちりばめられていた。児童は、その手がかりを頼りに、着実に商品を開発していった。

商品が決まったら、パッケージを制作。パッケージは3種類のデザインから型紙を選択した。色を塗ったり、シールを貼ったり。テキストの見本を参考に、成分表示も児童が作成した。

「応援したい」が「投資」につながる

開発した新商品の発表は、各グループの社長が行った。

この日、児童が開発したお菓子は、▽ゴールデンラムネ入りの「ドキドキおみくじラムネ」▽子ども向けの一口ドーナツ「一口どう?ナッツ」▽フランボワーズとチョコレートでつくった「フラチョコ」▽ストラップのおまけ付き季節限定の「桜形クッキー」▽甘さひかえめで人工甘味料と保存料を抑えたチョコレート「大人のザ・ビター」――など。

「100グラムで200円。アタリが出たら30%オフ」「保存料を使用していないから、賞味期限は1週間」など、手作りのパッケージを提示しながら、本格的なプレゼンテーションが行われた。

最後に、株主の立場になって投資に挑戦。その際、授業者は児童に「発表を聞いて、応援したいと思った会社を選ぼう」と説明。「投資」という単語だけでは難しく感じる児童も、「応援したい会社を選ぶ」という説明をセットにすることで、その単語を受け入れやすくなった。

個人が投資できる金額は20万円。それぞれが、自社以外の株式会社を選び、投資した。会社では、集まった資金によって、購入できる機械と材料が変わるのを実感した。児童の体験はここまで。

授業者は「皆さんは、お金を集めるところまでを体験しました。実際の株式会社ではこの後、商品を売らなければなりません。開発したお菓子が思うように売れないこともあるので、たくさんの種類の商品を開発する必要があります」と、社会の厳しさを添えて締めくくった。児童は授業を受けた感想を、「今まで分からなかった株式会社の仕組みが分かった」「商品をつくるのは大変だと思った」などと述べた。

お菓子の新商品企画に児童は夢中

同協会は、文科省が推進する「土曜日教育ボランティア応援団」に参加している。「金融リテラシー」の向上を図るために、中立で公正な立場から、金融に関する知識の普及や啓発活動を展開。学校向けの事業としては、金融や経済の仕組みを楽しく学べる参加・体験型のプログラムを提供している。その一環として、教員を対象としたセミナーや、小・中学校での土曜授業に対応。出前授業を実施している。当日取り組んだプログラムでは、2単位時間(45分×2コマ)を使い、児童にまとまった学びを提供した。

6年2組担任の萩原幸枝教諭は、「大学生になるまで、会社を自分でつくれるとは思っていなかった。既にある会社に就職するのが普通だと思っていた。子どもたちにとって、株式会社という言葉は、耳にはするけれども実態が分からない。キャリア教育として、楽しく学べるこのような学習は必要だ」と語る。当日の授業については「『お菓子の株式会社』という視点はすばらしい。どの子も意欲的に取り組める。普段あまり発表などしない子が社長役となり、発表していたのが印象的だった」と喜んだ。

宮田校長は、「本校では、外部から講師を招いて授業をしてもらうのが珍しくない。特別なイベントではなく、教科で取り組んでいる学習を深めるために企画している。小学校教諭は教える内容が幅広く、専門性を高めるのが難しい。専門性を担保するために、企業、地域、ボランティアに助けてもらう。専門家を招くと、子どもたちがひきつけられる。専門性にふれることで、子どもの心に火をともしたい」と話した。

同協会土曜学習・土曜授業/URL=http://www.jsda.or.jp/manabu/jugyousien/index.html