第10回日本語大賞 「忘れられない言葉」をテーマに

小・中・高・一般の4作品に文科大臣賞

NPO法人日本語検定委員会主催の第10回「日本語大賞」表彰式が3月3日、東京都北区の東京書籍(株)本社で行われた。「忘れられない言葉」をテーマに、小・中・高校生と一般から応募があったエッセー・作文など、4222点の中から各部門の文科大臣賞が選ばれた。

小学生の部は、神奈川県湘南ゼミナールセンター南教室小学校6年生・大嶋英敬さんの「尊い」。小学校1年生の時、セミの羽化を父親と観察した時、父親が発した「尊いね」という言葉。その意味を理解して行く中で、自身の生き方、心の在り方、思考を深めていく様子が短い文章の中に凝縮されている。語彙(ごい)力と文章力、そして観察力のするどさに感性の豊かさを感じる作品。

中学生の部は東京都立南多摩中等教育学校1年生・野口夏葉さんの「“私”で生きていく」。中学校生活にも慣れ、周りに合わせ、人の顔色をうかがいながら行動し、判断さえも他人に合わせている自分自身に違和感を持ち葛藤する中、松任谷由美さんのベストアルバムに記載されていた「“私”で生きていくこと。」というメッセージに心がひかれ、作者に生じる意識の変化がみられる作品。

高校生の部は、東京都安田学園高等学校1年生・佐原昌連さんの「糧」。小学校5年生の頃から囲碁に親しむようになり、腕が上達して行く中でプロ棋士を目指しプロ養成機関の院生となる。その時に祖父から「マイナスをプラスにできるかは、自分次第である」と言葉を掛けてもらう。実力差を感じながらも努力を継続するが、高校受験の進路決定でプロへの道を断念する。その際、祖父の言葉を「糧」にして、「悔い」ではなく「貴重な経験」と自分の中で心の整理をしていく様子をつづった作品。

また、一般の部は、長崎県の福島洋子さんの「ごはんごしらえ」が受賞した。

審査委員長の梶田叡一桃山学院教育大学学長は、「言葉は、放っておくと、変化してしまう。言葉は単なる伝達のツールだけではなく、事実、気持ち、人のあり方など、ものを見て取り、整理して思考を深めるもので、文化をつくっていくものである。次世代に伝えていくため、言葉の多面的な働きを、より磨いていくことが大切である」と昨今の言葉を巡る状況の危うさに警鐘を鳴らした。