『こうすれば、学校は変わる! 「忙しいのは当たり前」への挑戦』 著者の妹尾昌俊氏に聞く

「学校の働き方改革」はどうすれば成功するのか?

教育新聞特任解説委員で、中教審「学校における働き方改革特別部会」委員でもある妹尾昌俊氏が6月13日、『こうすれば、学校は変わる! 「忙しいのは当たり前」への挑戦』(教育開発研究所、2000円+税)を出版した。

『こうすれば、学校は変わる! 「忙しいのは当たり前」への挑戦』

どうすれば、忙しすぎる学校を変えられるのか。学校現場の生の声や実態をふまえ、中教審答申や先進事例などを紹介しながら、忙しすぎる学校の改善を一歩先へ進める「グッドプラクティス」が満載の本書について、著者の妹尾氏に聞いた。

――本書の役割は。

ご存じのとおり、日本の学校の長時間過密労働の問題はとても深刻です。中教審でも2019年1月に答申が出て、文科省も勤務時間の上限に関するガイドラインを出すなど、ここ1、2年で大きく動いています。私立学校などへは労働基準監督署が入って、指導するケースも増えてきました。

しかし、各学校の実態としてはどうでしょうか。改善に向けて熱心に動いている事例もある一方で、働き方改革などと言っても、どうもしっくりこないという先生方も少なくないのではないかと思います。

むしろ、残業時間について細かく言われはじめたことで、負担感やストレスが増えているかもしれません。“ジタハラ”(時間短縮ハラスメント)という言葉もあるくらいです。

本書では、私も加わった中教審をはじめ最新の議論を踏まえて、学校の働き方改革はなぜ必要か、どういうことを進める必要があるのかを、深く理解できるように工夫しています。

五つの大まちがい
――具体的な内容は。

本書は、中教審の答申をなぞるだけといった、抽象度の高いものではありません。第1章では、学校の働き方改革で起きがちな、「マズイ事例」を分析しています。失敗と言うと言い過ぎかもしれませんが、次のような学校は、本紙読者のまわりにもあるのではないでしょうか。

大まちがい①

校長の認識としては「上から言われているし、ともかくやるべきだ」という程度にとどまる。やっていることは「早く帰ろう」という呼びかけくらい。

大まちがい②

「児童生徒のため」ならば多少遅くなっても仕方がないと、安易に例外を認める。

大まちがい③

多忙の要因、内訳を見ないまま、できる範囲のことをやみくもに進める。また、教職員の中や保護者などの間でコンフリクト(対立)が起きそうなことには踏み込もうとしない。

大まちがい④

残業時間といった結果だけを追い求めるあまり、虚偽申告や持ち帰り仕事の増加などが起こり、かえって「残業の見えない化」が加速する。

大まちがい⑤

一般の教職員の多忙は緩和されつつあるが、教頭や学年主任らが仕事を巻き取っており、一部の人の多忙がさらに悪化している。

もちろん、こうすれば絶対OKといった唯一の正解や特効薬がある世界ではないとは思いますが、さすがにこういう動きではマズイというのは多々あります。

本書では、こういう大まちがいを避けて、どうしていけばよいのかを解説しています。

学校で本書を活用
妹尾昌俊・教育新聞特任解説委員
――本書の特徴は。

私は全国各地で教職員や保護者向けに講演、研修などをしてきました。本書は研修している感じで書いています。

各章には演習問題も入れていて、具体的な事例やシーンを想像しながら、どこに問題の核心があるのか、どういうことに注意していけばよいかを読者がアクティブに考えられるようにしています。

――どういう人に読んでほしいか。

一番は、学校(小、中、高、特支など)の先生方です。

実は、働き方改革や業務改善に関することは、校長が一番権限も持っているんです。法令や指導要領に反しない限りは、自由度があります。例えば運動会をする・しない、プログラムをどうするか、なんの部活動を設置するか、掃除の時間をどうするか――などです。これらは指導要領などで義務付けられていません。

校長の理解と行動力を高めることは、私のライフワークであるミッションのひとつです。ですが、当然ですが、校長だけの努力では限界もあります。校内研修などを通じて、学校で本書を活用いただけると一番うれしいです。

また、保護者や企業、NPOなどで学校を支援してくださっている方にも参考になる箇所はあると思っています。興味のある箇所だけでも構いません。

私も4人の子供(中学生と小学生)の保護者でもありますから、子育て経験や私自身のワークライフバランスの試行錯誤も、本書では生きているかなと思います。