深い学びの実現に向けて デジタル教科書の教科別活用法探る

教科書研究センターがセミナー

デジタル教科書の活用事例や展望を議論するセミナー「デジタル教科書の最近の動向と今後の方向性」(主催・教科書研究センター)が12月16日、都内で開催され、教員および教科書会社関係者ら約150人が参加した。講演やパネルディスカッションでは、学習者用デジタル教科書・教材の持つさまざまな機能や活用事例が紹介され、各教科の学びに効果的に導入するためのポイントや課題、今後の展望が議論された。

基調講演には、放送大学の中川一史教授が登壇、「デジタル教科書の現状と展望」をテーマに分析した。デジタル教科書が普及していくためのロードマップとして、①活用②スキル③環境④制度――の4つを挙げ、「学習者用デジタル教科書・教材で注目すべきポイントは、『学びの個別化』『思考の可視化』が可能となる点である」と指摘した。

各教科への効果的な導入ポイントなどが示された

パネルディスカッションは千葉県総合教育センターの秋元大輔所長が司会を務め、「教科におけるデジタル教科書活用の可能性」をテーマに行われた。最初に、信州大学教育学部の藤森裕治教授が、筑波大学附属小学校の国語授業の取り組みを紹介。

学習者用デジタル教科書・教材を使って児童一人一人が教科書を加工し「マイ教科書」を作り上げていく動画を上映した上で、「児童自らが授業を進めるようになり、教師はファシリテーター的な位置づけへ変化していった」と説明。「学習者用国語デジタル教科書・教材の独自性は、取り入れ方によって子供の可能性が無限に広がっていく点にある」と述べた。

理科における現状に言及した千葉大学教育学部の山下修一教授は、「理科では昔から問題解決型の授業展開を進めているので、独自のワークブックに実験結果を書き込みながら学習を進めているケースが多い」と指摘した上で、「学習者用デジタル教科書・教材に手書きノートを保管し検索できるような仕様を加えてもらいたい」と提案した。

光村図書出版の森下耕治氏は、外国語の授業におけるデジタル教科書・教材活用の利点に言及。「音声やアニメーション、動画の再生ができることで、紙だけの教材よりも情報量が格段に多くなる」と強調した上で、「課題として、教科間、学年間がシームレスにつながっていく必要がある」と述べた。

東京書籍の小松剛氏は、算数の活用場面として「航空写真を使って学校の面積を求めるという」課題を取り上げ、デジタル教科書・教材上でさまざまな図形を当てはめながら面積を導き出す活動を紹介。「算数特有のメリットとして、学習者用デジタル教科書・教材を使って試行錯誤を繰り返すことで表面的な理解ではなく応用力が付く」と語った。

司会の秋元所長は「各教科によって使用する教科書が異なることから、デジタル教科書・教材のビューワーの統一が必要となってくる。また現場の先生方のための研修が求められている」とまとめた。