新学習指導要領を踏まえた 多くの優れた実践を表彰 第35回東書教育賞

教育現場の優れた教育実践論文を表彰する、第35回東書教育賞(共催・東京書籍(株)、(公財)中央教育研究所)の贈呈式が1月26日、東京都北区の東京書籍本社ビルで行われた。

優れた実践が評価された受賞者の皆様

今回のテーマは、「未来を担う子どもと共に歩む確かな教育実践」で、全国の小・中学校教員と教育関係者から128編の応募があった。審査の結果、最優秀賞2編、優秀賞4編、奨励賞2編が選ばれた。

小学校部門の最優秀賞は、菊池崇徳神奈川県愛川町立中津第二小学校教諭の「オリジナル合唱曲作りを通した主体的・対話的な子供の育成」(総合的な学習)。5年生の児童全員でプロジェクトを立ち上げ、曲のテーマを決め、作詞・作曲を行う「世界でたった一つの合唱曲」を作る実践。

子供たちは、主体的かつ対話的に合唱曲作りに参加し、協働的な学習を体験する。声楽家や作曲家など外部人材も巻き込んで、合唱曲を作り上げ、地区の連合音楽会で披露し、6年生時には、その曲を学校にプレゼントする。子供たちの意欲的に取り組む様子、学びの深まり、成長する様子が、よく描かれている。

中学校部門の最優秀賞は、清水康太愛知県立杏和高等学校教諭の「主体的に技能向上に取り組む体育学習の創造」(保健体育)。前任校の中学校での体育科における短距離走・リレーの指導で取り組んだアクティブ・ラーニングの実践。

「確かな知識を指導した上で、生徒が主体的に活動できるための場を設定することが大切だ」と考えた清水教諭は、短距離走の指導では、「パタパタくん」「背伸ばし棒」などの補助具の活用やサーキット・ダッシュ・ゾーンなど、場の設定を工夫し、生徒自身で課題解決できるように授業を展開。

リレーの指導では、何度でも効率よくリレーに取り組めるようなリレー・ゾーンを設定し、「しこう」(=試行と思考)を授業内で繰り返し実施、経験から学びが深まるように工夫した。教師のアドバイスや工夫された指導の様子が詳細に報告されている。

受賞した菊池教諭は、「新しいことをする際に人目を気にする、面倒くさがるなど、今の大人社会にもそのことは見受けられる。協働的な雰囲気の中で一つのものを作り上げていく、そんな雰囲気を作り出せたらと考えていた」と思いを述べた。

清水教諭は「新学習指導要領を踏まえた時、知識・技能、体験、考察、話し合いの時間を、授業や単元の中にどう配置するか、いつ、何と、どうやって対話させるかを見極めることが大切」と自身の実践のポイントを述べた。

審査総評で市川伸一東京大学大学院客員教授は「新学習指導要領と関連づけた内容が多く、主体的、対話的で深い学びというフレーズを意識したものが多かった。教科に限定されない今日的なトピックやテーマ(防災、環境、地域、キャリア教育、自己と他者の関わりなど)が増え、今後は、教員間の連携、地域や自治体との連携などを踏まえた内容が増えてくるであろう。論文の在り方も教師の在り方も変わってくると思う。コーディネーターとしての教師像が示されていくのだと思う」とまとめた。

論文は小・中学校別に論文集としてまとめられ、後日、全国の学校・教育機関などに配布される。詳細は「東書教育賞」審査事務局