『教師崩壊』 著者の妹尾昌俊氏に聞く

本紙オピニオンの執筆メンバーで、教育研究家、学校業務改善アドバイザーの妹尾昌俊氏が、『教師崩壊』(PHP新書、960円+税)を上梓した。教員の現状をデータに基づいて客観的に示し、5つの「ティーチャーズ・クライシス」として解説。「豊かな教育」を取り戻す方法も提言している。

――かなりショッキングなタイトルですね。
妹尾昌俊著
PHP新書
960円+税

実は、もともとのタイトル案は『ティーチャーズ・クライシス』でした。学校教員にまつわる危機的な状況を共有して、改善に向けた世論と政策を盛り上げたいという思いを込めた本です。

『教師崩壊』というタイトルから、教員をまたバッシングするのかと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、各地の先生たちが倒れかねないほど疲弊している現実を問題視しています。

このままだと学級崩壊といったレベルを超えて、「学校崩壊」「教育崩壊」の危機まであるという認識で、このタイトルにしました。

――具体的な内容は。

5つのティーチャーズ・クライシスを解説しています。

そのうちの1つは、教員不足や採用試験の受験者減少の問題です。「教員採用試験の倍率が下がって、教員の質が心配だ」と、まことしやかに言われていますが、「ホンマでっか?」という点を分析しています。

極端な話ですが、100人の募集に、「この人は先生になってほしいな」と本当に思える人材が100人応募してくれれば、倍率は1.0倍で全員合格ですが、それに問題はないはずです。問題は倍率そのものよりも、優秀な人材が教職を受けなくなっている可能性が高くなっていることなのです。本書が問題視しているのは、そういう現実です。

――独自の調査結果も盛り込まれていますね。

はい。まだまだ検証としては十分とは言えない部分もありますが、この本では、データやファクトから論じることを重視しています。グラフや図がこんなに多い新書は珍しいですよね。

例えばアンケート調査したところ、小中高の先生の3~4割は1カ月に本を1冊も読んでいません。率直に申し上げると、「学び続ける教師」と「学びをやめてしまった教師」の二極化が起きています。

私も4人の子供の保護者ですが、どちらの先生に担当してもらいたいかは、明らかですよね。本書は教師バッシングをするものではありませんが、先生や文科省、教育委員会、私立の学校法人などにとって、耳の痛いことも述べています。誰にも忖度(そんたく)せず書きましたので。

――どういう人に読んでほしいですか。

学校の先生方や教育行政の関係者には、もちろんご覧いただきたい気持ちでいっぱいです。しかし新書にしたのは、保護者やビジネスパーソンともしっかり現実を共有したい、という思いからです。

最終章では、今後に向けた方策を書いていますが、キーメッセージは、一人の教師にあれもこれも重荷を負わせる「欲張りな学校をやめよう」ということです。コロナ禍の中で、このことは一層重要となっていると思います。

学習指導要領の内容をもっと精選するべきということも書いていますが、これはすごくハードルが高い。やはり社会に理解者、応援者を増やさないと進まないことなので、一般の方にも、教師崩壊が目の前にある危機であることに気付いてほしくて、本にしました。