自ら人生を切り開くために 「生徒の心に灯をともす教育」を考える

未来の先生フォーラム事前プログラム開く

3人の第一人者が登壇

 「生徒の心に灯をともす教育」とは――。「未来の先生フォーラム2021」(8月21~22日、オンライン開催)の事前開催プログラムが7月31日、オンラインで行われた。『生徒の心に灯をともす教育』のテーマのもと、探究×コーチング×トーチングという3つの領域から第一人者が登壇し、豊かな人生を切り拓く教育について熱く語り合った。

 登壇者は、株式会社トーチリレー代表取締役の神保拓也氏、ラーンネット・グローバルスクール代表で神戸情報大学院大学学長の炭谷俊樹氏、京都芸術大学教授の本間正人氏の3氏。

一人一人に寄り添い、相手の悩みを主役に
神保拓也氏

 まず、株式会社トーチリレーを設立して以来、社会人から学生まで数千名の悩みに寄り添い心にトーチを灯す活動(トーチング)を展開する神保氏は、その経験から灯がともっている人とは「目標や目的が見つかってそれに向かって前進している人」と定義。心に灯をともすには、「一人一人に寄り添い、自分の言葉ではなく相手の悩みを主役とし、自分だったらどうするかを全力で一緒に考えることが大事」と主張した。

 事例として、海外の大学に進学したいがもし失敗したらどうしようか、英語にも自信がないし……と悩む高校生に対して行ったトーチングを取り上げ、人の悩みをまるで自分の悩みのように真剣に悩む取り組みを紹介した。

やりたいことを実現させる重要性を
炭谷氏

 続く炭谷氏は、1996年に「自分の中に灯をともす」を理念に開校したフリースクール、ラーンネット・グローバルスクールで25年にわたり子供と寄り添ってきた活動から、「子供の探究心に灯をともす」をテーマに説明。好きなこと、子供がやりたいことを実現させてあげることの重要性を強調した。

 同氏は、「大事なのは、進路の選択でもやりたいことでも自分が決めること。そうすれば情熱を持って集中して取り組み、根気よく続けられる。そこから達成感を味わい、もっとやりたいという向上心が出てくる。自分自身でエンジンをかけてアクセルを踏んでいくことが大切」と強く訴えた。

聞いてあげるコーチングが大事
本間氏

 「教育学」を超える「学習学」の提唱者である本間氏は、アクティブ・ラーニングを25年以上実践している。まず、「灯はそもそも一人一人の子供の内側にあって、普通の学校教育ではそれが消されている、隠されている状態」と指摘した。

 「教科学習が得意な生徒はそれでいいが、教育者側の都合のいい灯だけが有効でそれ以外は駄目と考えるのは違う。灯のともる種類や形、タイミングは多様であって長い目で見ることも重要」「興味関心を抱いたことについて は自分で学ぶもの。教師、親が答えを出すのではなく、聞いてあげることが大事」とコーチングの重要性も示した。

経験の生かし方で論議

 後半は、視聴参加者からの6つの質問に登壇者が丁寧に答えた。「トーチング、コーチングを行うには多くの経験やバックグランドを持っている必要があるが、若くて経験値が少ない場合はどうすればいいか」との質問に対して、本間氏は「若くて経験値がなければ逆にそれを生かせばいい。経験がなくても相手に寄り添う、向き合うことはできる」と回答。神保氏も「今持っているもので相手に貢献できることは何か、という思考に変えてみるとよい」と温かくコメントした。経験値を増やすためにできることとして炭谷氏は、「異分野の人に会う、外国人と交流すること」などと提案した。

 最後に「改めて、生徒の心に灯をともす教育とは」との問いには、全員から「自分の心に灯をともそう」と共通のメッセージが送られた。

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