『GIGAスクール・マネジメント』著者 佐藤明彦氏に聞く

学校におけるICTの活用において、先進自治体と言われる熊本市の取り組みを追ったルポの第2弾『GIGAスクール・マネジメント』(時事通信社、1600円+税)が出版された。GIGAスクール構想に伴い、全国の小中学校に1人1台の端末が配備されたが、多くの教員が日常的にICTを活用している熊本市では、どのような取り組みを行っているのか。著者である教育ジャーナリストの佐藤明彦氏に聞いた。

端末を「文鎮」と化さないために

――出版に至るまでの経緯は。

『GIGAスクール・マネジメント』(時事通信社、1600円+税)

 日本の教育界では20年以上前から「教育の情報化」が叫ばれてきましたが、現実には一部の熱心な先生方しか取り組んできませんでした。その結果、日本の学校のICT化は世界各国と比べて「周回遅れ」と揶揄(やゆ)されるほど、後れを取っていました。

 ところが、コロナ禍で状況は一変しました。「GIGAスクール構想」が前倒しされ、少なくともハード面では、突如として世界トップレベルに踊り出たわけです。とはいえ、現状の公立学校は、ICTを活用していくための土壌ができていません。このままでは、端末が「文鎮」と化してしまう可能性があり、活用を広げるための手だてが必要だと考えたのが、スタート地点での問題意識です。

――熊本市にフォーカスした理由は。

 2020年春の全国一斉休校中に、市内全ての学校でオンライン授業を展開し、注目を集めたのが熊本市です。その経緯は、拙著『教育委員会が本気出したらスゴかった。』で紹介し大きな反響がありましたが、同市では普段の授業においても、多くの先生が当たり前に端末を活用しています。そこで今回も、熊本市の手法にフォーカスし、熊本大学教職大学院准教授(当時)の前田康裕先生に監修をいただく形で、書籍化することになりました。

事例集だけでは、活用が広がらない

――具体的な内容は。

 当初は、デジタル端末の活用事例集を作ろうと考えていました。しかし活用事例は文科省の「StuDX Style」をはじめ、世にあふれています。また、事例集はICTが「得意」で「好き」な先生だけにしか見られていない傾向があり、活用を広げるにはそれ以外の手だてが必要だと考えました。

 そんな中、着目したのが「マネジメント」です。本書では、端末の普段使いが行われている熊本市において、「教育委員会」「管理職」「ミドルリーダー」の各レベルでどのようなマネジメントが行われているのかをレポートしています。また、活用促進の鍵を握る「ICT支援員」にもスポットを当て、その取り組みを紹介しています。

鍵を握るのは「マネジメント」を担う人たち

――どんな人に読んでほしいか。

 教育委員会関係者、学校管理職、ICT推進担当教員など、端末の活用においてマネジメントを担う人たちに読んでほしいと思います。中でも読んでほしいのは、教育委員会関係者です。現状、せっかく端末を導入したのに、運用における制約やセキュリティーが厳しすぎて、現場からは「これでは使えない」などと嘆き節が上がっています。この点で、熊本市教委の考え方は非常に斬新かつ本質的で、多くの教委関係者にとって参考になるはずです。

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