(円卓)全ての人にとっての未来

大阪府立大学准教授 伊井直比呂

 

持続可能な社会を築くために、その重要な考え方の一つとして「全ての人にとっての未来」がある。この考え方を学校教育にあてはめると、多くの教育場面で用いることが可能だ。例えば、女性も、男性も、障がいをもつ人も、LGBTの人も、全ての人が等しく未来づくりに参画する必要がある。

歴史の中では、男性が築いた社会の中で、女性が従属して暮らすような時代があった。同様に、先進国がつくる「未来」の枠組みに途上国が従わされるような未来づくりは、もはや全ての人にとっての持続可能な社会や未来ではない。

また、地球環境を視野においた行動は極めて重要であるが、環境と貧困が対峙する地域では、自ずと人々の生存や生活を優先した方途で行われるべきだろう。

つまり、持続可能な社会や未来は、経済的・社会的強者に位置する人たちにとってだけの「未来」や「社会」ではなく、構造的に低位におかれてきた人たちをも含めた対等な「社会」や「未来」づくりでなければ、この教育は成り立たない。

すなわち、ESDは自らの立場からだけの視点や、自国の利益のためだけの視点で行われるのではないと同時に、多様な背景と事情が出会いながら、どのような地球社会を築いていくかを対等な立場で学び合い、そして協同しながら参画していくプロセスでもある。

ご存知の通り、ESDでは自らの価値観や態度、そして生活様式も転換するなど多くの変容が求められてきた。それらは、平等、公正、寛容、問題解決的思考力、批判的思考力などを基盤としつつ、自らを振り返りながら態度化し、自己の成長を期待しつつ協同して取り組む力などが持続可能な社会づくりに必要なものとされるからである。これらはESDを推進する側にも求められる。

このようなESDは、多くの学校で行われている地域交流や国際交流の質をも変える。これまでのように交流を通した相互理解だけが目的ではなく、地域や世界の多様な社会のさまざまな学校間で、持続可能性の課題を伝え合ったり、共通する問題を探り合ったりする交流を行う。

そして、未来を創るために、共に考え、共に行動する交流を創ることで、「仲よく」を超える「連帯」という新たな交流のつながりの成果を生み出すに違いない。

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