(円卓)大学入試改革

宮城教育大学附属国際理解教育研究センター教授 市瀬智紀

 

昨年、国立大学協会は、書類や面接などで選考するアドミッション・オフィス(AO)入試や推薦入試、海外大学の入学資格「国際バカロレア」取得者の合格者比率を入学定員の30%に拡大するプランをまとめた。推薦入試やAOの比率をますます高める方法で、入試改革が進んでいる。

私が入試を担当した経験でも、推薦入試やAOでは「ひとりで勉強ができる個人」の能力はみられていない。高校生に課題を与えて解決してもらう際に他の生徒と上手に協働する力やそのためのコミュニケーション能力、自分の見解を他者に伝達する表現力を見ている。そのような力は学校教育の中でどうやって身に付けたらよいか。昨今は小・中・高校の総合的な学習で、改めて重要な意味をもってきている。地域の学校や教委では○○学(○○は地域名)と名付けられたいわゆる「地域学」を設け、総合的な学習を地域学習や課題解決のために積極的に活用しているところが多い。

総合的な学習は、興味をもって学習に取り組み、他者と協力したり多様な背景の人々とコミュニケーションしたりするためのたいへんよい枠組みである。それをただ単に、インターネットによる調べ学習や行事や進路講演会にしてしまうのはもったいない。どうやって児童生徒に課題を設定させるのか、自分から進んで学習するように支援できるのか、総合的な学習で試行錯誤を重ね、その支援や指導過程を全教員間で共有する必要がある。

高校では、スーパー・サイエンスやスーパー・グローバル、ユネスコスクールやESD、国際バカロレア、地域創生や地域課題を解決するための学科の設置など、課題解決を志向する新しい取り組みが進んでいる。だがそこでの学習には、全体として1つの特徴がある。それは「生徒個人が自分自身の身近な気づきの中から課題を見つけ出し、地域や世界と結び付けて探究するととともに、それを解決するプロセスを自分のキャリア(進路)形成に結び付けていく」という学習スタイルである。

このような学習スタイルは、複雑で矛盾に満ちた地域的課題、地球的課題を解決するための人材育成を目指した世界的な潮流でもある。そうした教育実践から、高い学習意欲をもち、未来を見通しながら現状を改革できる人材が生まれてくることを期待している。

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