(円卓)混乱を鎮める

東京都江東区立八名川小学校長 手島利夫

 

「本校ではESDの研究をしているのですが、ESDの6つの構成概念や、重視する7つの能力・態度を効果的に育成し、適切に評価するにはどうしたらいいのでしょうか」という困惑の声が、多数寄せられてくる。

ESDを実践している教育現場は、混乱しているのである。

まじめな学校・まじめな先生ほど、提示されているESDの構成概念や育成するべき能力・態度に囚われ、苦しんでいるのである。

そのような先生方には「あれは、国内外のESD研究機関などが言っている内容と、学習指導要領やOECDのキーコンピテンシーとの整合性を示すために、まとめただけのものです。ESDの授業実践から生まれたものではありません。ですから、必ずしも授業に役立つとは限りません。むしろ、実践してみて、その特性を後から分析するのに役立つかもしれませんよ。皆さんは、学者さんたちの言っていることを証明するために、日頃の授業の研究をしなくてもいいのです」と言っている。

すると先生方は、それまでの呪縛から解き放たれ、本来の授業づくりへと意欲を取り戻すのである。

ESDの授業を創る際には、教育課程企画特別部会の「論点整理」を踏まえて、未来社会の厳しい現実に向かうために、『何を学ばせるのか』『どのように学ばせるのか』『何ができるようにするのか』ということを出発点にしなくてはならない。

そして、授業づくりのポイントとして、次の3点が重要である。

(1)環境や人権、国際理解などの視点から教科・領域等をつなぎ、横断的・総合的に学習内容の構造化を図ること[ESDカレンダーの活用]

(2)「問題解決的な学習過程」を重視し、学習者を中心とした「主体的な学び」「協働的な学び」を実現すること[子どもの学びに火をつける]

(3)知識・理解にとどまらず、学びを生かして「自分たちのこと」として行動する「実践力の育成」を目指すこと[実践力こそ評価の視点]

これらのポイントを広め、徹底していくことで、学校現場におけるESDの実践の混乱を鎮め、ESDらしい授業づくり・学校づくりに熱中させたい、と考える。

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