(円卓)創る

東京都府中市立府中第四中学校長 三浦登

 

熊本県を中心とした地震で被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。災害が起こる度に感じます。自然の力は強く、人間の力がいかに非力であるかを。

しかし、困難を乗り越えることにより、新たな文明を創りだしたことで、人間という種は命を継続させています。

「人間は、道具をつくる動物である」とは、雷雲帯電を証明し避雷針を創った、アメリカの科学者フランクリンの名言です。

非力である人間は、道具を使うことに加えて、道具を創りだす営みがあるからこそ、他の動物より優位な文明を築いてきました。

人間が飛行機で空を飛ぶという道具を創り、ライト兄弟は12秒間飛びました。そして現在は、人間が宇宙ステーションを往復しています。

科学技術の発展は、道具を創りだすことで加速化しています。その基本は、道具を正しく使うことができる知識と技能が必要であると考えます。

道具が発達して便利になっている現代は、ボタン1つで目的が果たせる場面が多くなりました。それは、手指の機能が育たない環境であるのは間違いありません。そうすると、道具が創り出せないことにならないでしょうか。

人間の文明を支えるのが教育です。生活の中で不足していることも、学校教育で育むことが必要な時代がきています。

昨夏に、学習指導要領改訂に向けて論点整理が示されました。育成すべき資質・能力の3つの柱に、何を知っているか、何ができるか(個別の知識・技能)があります。その知識と技能の中で道具を使って手指の機能を育てる内容が、どの程度示されるのでしょうか。

そして、知っていること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力)の学習場面に、試行錯誤を通したものづくりは有用です。具体物を造って考え、与えられた条件を判断し修正をくり返して、課題を解決するものづくりです。

不便を強いられる避難所の支援に、技術・家庭科で学んだ力を生かして、携帯電話も充電できる手回し発電機付ラジオを中学生が組み立てて送るプロジェクトが動いています。

「人間は道具をつくる動物である」。自然災害と向かい合い、1日でも早い復興をお祈りいたします。

(全日本中学校技術・家庭科研究会顧問)

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