(円卓)真のグローバル教育

沖縄科学技術大学院大学理事長補佐 浅井孝司


 

5月の連休を利用して、久しぶりに北京を訪問した。北京市内の中関村第一小学校、中国人民大学附属中等学校、北京第十一学校の3校を視察させていただいた。この3校はいわゆるエリート校であり、初等中等レベルのエリート教育の実態を調査できた。

その内容は、今まさに日本が目指しているアクティブ・ラーニングによるグローバル教育であった。

例えば、中関村第一小学校では、1学年から英語の授業を行っているという。4学年の英語の授業を1時間見学させてもらったが、英語の専任教員とネーティブの教員がペアになり、その時間は先生も児童も英語しか使わずに進行した。

授業のテーマは「スポーツ」であった。写真や動画を見て先生が質問する。児童は、挙手によって答える。途中にワークシートを用いた簡単なテストを盛り込み、2、3人の児童が前に出てきて、簡単な実技を披露するなどと進んでいく。飽きることがない。あっという間の1時間であった。英語を学んでいるというよりは、英語で考えているという方がピンとくるだろう。

この小学校は科学教育に力を入れており、児童の自主性を重んじているとの学校側の説明にも、児童を見れば理解できる感じであった。校内の壁は児童が描いた絵画で満たされていた。

中国人民大学附属中等学校でも英語の授業を1時間見学したが、内容はさらに高度になり、「広報」をテーマに生徒が英語を用いて考える時間であった。共産主義の国のエリート教育はとても民主的という矛盾した実態に改めて驚かされた。こうした内容の教育になったのは、北京オリンピックがきっかけのようである。

わが国でも持続可能な開発のための教育(ESD)が少しずつ広がっているが、ESDで身に付けたい能力・態度を考えれば、その教育手法としてアクティブ・ラーニングは当然のように実施される。これからの社会を生き抜く力を養うにはさまざまな知識や経験を持つだけでなく、それを有効に生かしていく能力が必要であり、学力イコール試験の成績と考えていては人材育成は成り立たない。

東京オリンピックが近づいていく中で、わが国も再度、世界に伍していける教育を国民全体で考えてみるべきではないだろうか。

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