(円卓)ESDは未来への希望

持続可能な開発のための教育推進会議(ESD-J)副代表理事 池田満之

 

3月31日、文部科学省の国際統括官と初等中等教育局長は、全ての学校におけるESD(持続可能な開発のための教育)の実践に資するために、「ESD推進の手引」を作成し、各都道府県教育委員会教育長などに送付した。

持続可能な社会の構築に向けた変革を進めるため、わが国でも既存の教育をESDの視点で見直す取り組みが始まって既に10年以上になる。

ESDは、学習指導要領の理念「生きる力」や「総合的な学習の時間」が目指しているものと合致していることから、ESDの視点で授業を変えることで子どもたちの学力や「生きる力」を高めている学校も増えている。

こうした変化は、ユネスコスクール(ESD推進拠点校)への登録数の飛躍的な伸びにもあらわれている。

持続可能な社会の担い手を育むため、ESDでは「未来を見通せる力」「参画する力」「共に生きる力」「つなぐ力」などを身につけるのを重視している。これらの力をつけるには学校と家庭を含む地域社会との協働が不可欠である。

ESDの視点で授業を見直すことは、価値到達型から価値創造型の学びを促進し、主体的で協働的な学習に重きをおくことになる。「教える」から「気づかせる」場づくりが重要になる。

ただ、こうした方向性は「総合的な学習の時間」の導入など、「確かな学力」や「生きる力」が目指してきたものでもある。

ESDは、まさにわが国の教育が目指してきた理想を実現させるための手引である。文部科学省が全国の教育長宛に送付した「手引」は、日本ユネスコ国内委員会のホームページに掲載されているので全ての教員にはご覧いただき、活用してもらいたい。

ESDは未来への希望。まずは教員からESDで主体的に変わっていってもらいたい。

昨年、世界の各都市が「持続可能な学習都市」へと変革していくのを目指して「ユネスコ学習都市グローバルネットワーク」の参加登録制度が始まった。今年2月には、全市でESDに取り組んでいる岡山市が、国内第1号の登録を受けた。

こうした都市が世界中に増えていき、ESDが目指す人づくりが進んでいけば、持続可能な社会に向かっていけるのではないだろうか。

(中国学園大学子ども学部子ども学科准教授)

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