(円卓)急がれる業務改善

元全日本中学校長会会長 佐野金吾

 

学校教育の改善方策として「チームとしての学校」の実現が話題になっている。学校が抱える課題は、ご案内のように複雑化・困難化し、教員だけでは対応が困難であることから、心理や福祉などの専門機関、地域と連携してチームとして課題解決に取り組もうとするもので、誠に結構なことである。

しかし、こうした体制が整うのは、いつのことなのか。学校が当面している課題への対応には、今まさに、それが必要なのだが。
第2回国際教員指導環境調査(TALIS2013)によって明らかなように、日本の教員の残業時間はずば抜けて長いが、授業やその準備に費やす時間には、それほどの差はない。

日本の教員の業務に重くのしかかっているのは、生徒指導、保護者対応、部活動指導であるが、最近では諸調査処理事務がこれらに加わっている。教員としての主たる業務が授業やその準備、生徒指導など児童生徒と向き合うことであるならば、その業務に集中できる時間を確保できるように、その他業務の軽減を図らねばならない。

教員の業務環境が改善されれば、教員の勤務時間の適性化を図ることも可能である。

5月の大型連休で観光地はにぎわっていたが、都内の多くの中学校では、部活動指導に教員が休日返上で取り組んでいた。部活動指導に係る教員の多くは、ここ数年に採用された若い教員である。若手教員の当面する最大の課題は、授業への取り組みである。学習指導要領や教科書の読み込みと授業に向けての教材研究、そして児童生徒理解。どれも若手教員には多くの時間を必要とする業務である。だが、部活動指導に追われて研修に十分な時間をかけられないのが現状である。

若手教員が教員としての力を身に付けるのは「チームとしての学校」として必須であるが、現在の義務教育諸学校の業務環境では、若手教員を育てる人的、時間的余裕はない。
「チームとしての学校」としては人的措置が考慮されているが、学校現場では、それならば、教員を増やしてほしいという願いが強い。

今秋の国会では「義務標準法」の改正を図る法案が出されるようだ。日本の学校教育の一層の充実を図るために、義務教育諸学校の業務環境の改善に早急に取り組んでほしい。

(教育新聞論説委員室顧問)

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