(円卓)ファシリテーション力

神奈川県立総合教育センター所長 北村公一

 

次期学習指導要領改訂に係る「論点整理」のキーワードの一つにアクティブ・ラーニング(AL)が挙げられる。これは一定の型にはめた指導法ではない。しかし、本来の目的を見失い、特定の学習や指導の型に拘泥する事態も危惧される。

ALは深い学び、対話的な学び、主体的な学びの3視点に立ち学び全体を改善していく実践であり、それにより子どもたちが各教科等の内容的な理解を深めながら、育成すべき資質能力を身に付けていくのが肝要だ。学習の主体が子どもたちであるのを鑑みれば、ALにより子どもたちが深い学び、思考がアクティブになっているのが重要である。これを実現するため教師には各教科等の内容に関する深い理解や子どもたちの資質能力の育成が図られるよう、指導内容を組み立てる力量の向上が求められる。

教師の力量の一つとして考えられるのがファシリテーション力ではないか。会議等の場で発言や参加を促したり、話の流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりしながら、合意形成や相互理解をサポートして組織や参加者を活性化し協働を促進させる能力である。

学びの主体はあくまで子どもたちであるとの見地から、教科等の目標と評価規準を踏まえた上で、教師はその学び合いを促進する立場(ファシリテーター)として授業を組み立てる。子どもたちの考えを積極的に傾聴し、それぞれの考えや話の流れを可視化しながら、考えを促す発問をする等で流れをコントロールし、合意形成(真のコンセンサス)を得る。そういう授業展開では自ずと学びの主体が子どもになる。

言語活動を通じて、子どもたちは気付き、思考し、各人の考えを共有化し、互いに深化していく学びの姿が期待できる。また思考や心理を言語化し、それによって自分の心理を意識し統制していく力、自らの思考プロセスを客観的にとらえる力(メタ認知能力)、合意形成する力を育成できる。

これらから、教師のファシリテーション力を生かした授業は、ALの一つの姿として位置付けられる。子どもたちの発想や思考を生かした授業展開のためには子どもの姿(表現)の意図や真意を見とり的確に判断し、他の子どもにつなげ、可視化し、価値づけていく力量が教師には必要だ。

教育におけるファシリテーション力の研究が必要である。

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