(円卓)心の教育の在り方

東洋大学教授 下田好行

 

最近、漫画にはまっている。娘がバレーボール部で「ハイキュー!!」という漫画をよく借りてくる。ちょっと盗み見してみた。案外おもしろい。

原作者は古舘春一、集英社の「JUMP COMICS」で現在、21巻まで出ている。烏野高校バレーボール部はかつて全国大会に出場した強豪だった。現在は当時の面影はなく「飛べない烏」と噂されている。そんなチームに日向翔陽と影山飛雄が入部してくる。日向は背が小さくバレーボールの技術はない。だが、抜群のジャンプ力と瞬発力、スタミナを持っている。この日向が影山(セッター)とともに「変人速攻」という技を編み出す。2人のバレーボールに対する熱意と勝利にかける執念は、他のチームメートにも刺激を与え、部員はそれぞれの役割を自覚し自己成長していく。

日向には実に不思議な魅力がある。彼は、窮地に追い込まれるほど、闘志がみなぎってくるのである。第30話の音駒高校との練習試合では、変人速攻がブロックで止められてしまった。相手チームに変人速攻が攻略されてしまったのである。そのとき日向はかすかに笑みを浮かべ、日向は影山に言う。

「なんか違うんだ。ブロックで向こう側が全然見えなくて、どうすればいいのか全然分かんなかったあの頃の感じとはー。今までブロックは怖くて嫌なだけだったのに、あいつが目の前に来るとわくわくするんだ。だからもう一回俺にトスを上げてくれ」

こうして2人は相手のブロックをかわす新しい速攻を編み出す。こうした日向の感性をチームメートの菅原孝支も証言している。

「日向には『勝利にしがみつく力』がある気がする。恵まれた体格、優れた身体能力、そういうのとは別の武器。苦しい。もう止まってしまいたい。そう思った瞬間からの、一歩」

私はこのくだりを読んでなんとなくドキッとした。こういう状況では普通は心が折れて消極的になってしまうだろう。しかし、日向は極限に追い詰められた先の希望に目を向けていた。こうした心の在り方が人間には重要なんだと思う。教育とは何だろう。それは自分自身の中に光を見いだすことだと思う。光とは心を積極的に傾け、希望をもって生きることに他ならないと思う。

「ハイキュー!!」、これからの展開が楽しみである。

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