(円卓) 18歳選挙権に思う

東京都多摩市教委教育長 清水 哲也

 

選挙権を得られる年齢が20歳から引き下げられて18歳以上となる。

総務省が公表した前回、平成26年12月に行われた第47回衆議院議員選挙投票状況を見ると、年齢層別投票率で20~24歳が29.72%で最も低く、70~74歳が72.16%で最も高くなっている。こうした若者の低投票率を前に、18歳選挙権が若者の投票行動につながるのかとの声もある。

新たに選挙権を得る若者たちを対象に実施した調査(18歳選挙に何を思う・NHK)では、選挙に「必ず行く」「行くつもりでいる」という人は約60%、一方で、投票への不安や戸惑いがあるという人は49%。半数が不安に思っているのである。若い人たちは選挙には行きたいが、政治についての知識や判断に自信がないのだろう。

学校での社会科の授業では、党派的な色彩が強くなるとの理由から、現実の政治との関わりを避けて、政治的中立に重きを置いた教育を進めてきた。その結果、若い人たちは、自分たちの生活の重要な部分が政治という意思決定の場で決まっているとの実感が乏しく、選挙への興味・関心も高まらずに選挙から足が遠のいてしまったともいえる。

今、各地の小・中学校では、模擬投票を実施する取り組みが盛んである。模擬投票には、選挙のしくみを知り、それによって将来の投票行動につながる効果を期待できるが、政治や選挙に積極的に関わる若者を育てていくには、もう一歩踏み込んだ教育の取り組みが必要であろう。

教育基本法は、第14条の第1項で「良識ある公民として必要な政治的教養の尊重」をあげている。政治的な教養を高めるには、選挙における知識とともに現実の政治の理解力や公正な批判力を養うことが効果的であるとされている。例えば「有限な地球における持続可能な社会をどのように形成するか」「少子高齢化社会における社会保障の給付と負担をどうするか」といった政治課題は、未来に生きる子どもたちが、必然的に直面する課題でもある。これらの課題を学習で取り上げ、十分に教室で議論させていくことが大切ではないか。

ティーチングからラーニングに重きを置いた学びで、子どもたちを耕してほしい。政治的な教養を育む教育とは、教室の中で自由に子どもたちが意見交換できる環境づくりから始まる。

 

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