(円卓)楽しい組織づくり

放送大学教授 岩崎久美子

 

誰しもが、できることなら、いつも「楽しく」過ごしたいと思っているであろう。ではこの「楽しい」時間はどのように創出できるのか。
心理学者のチクセントミハイは、創造的なことに没頭し時間を忘れる忘我の状態を「フロー」との概念で説明する。個人だけでなく、組織でも「楽しい」という思いの先には、生産性の向上がある。

それでは、組織として、「フロー」の状態をもたらす環境設定はどのようにすべきか。それには、上下の隔てなく、心を開いて語り合えるインフォーマルな学習の場が重要となる。

米国のデジタルメディア企業マイティバイト(Mightybytes)社では、週に一度、担当者がファーマーズマーケットで買い出しをし、みんなで料理した食事をとりながら、順番に業界のトレンドや技術について発表する「昼食と学習」セッションを実施している。組織が同じ目標を向き、自由に意見を言える場の創出が、変化する社会への対応を可能とし、イノベーティブな職場のムードをつくる。

さて学校。学校でも教員や生徒がアイデアを自由に出すことができ、それが実現できるような仕組みがあれば、日々変革しうる「楽しい」学校になるであろう。

たとえば、大阪府立金岡高校では、「帰宅部」(企画部)という仕組みがあるそうだ。ふと思いついた企画を、誰もが校長室前のホワイトボードにメモできる。それに反応があれば、校長や教頭(帰宅部顧問)に交渉。OKがでれば、校長・教頭たちが実現に向けて応援するという。これまで実現した企画は、「ビブリオバトルやりたいです!」「クリスマスイブにダンスイベントやりませんか!」「サッカー部の引退試合を応援しに行こう!」といったメモ書きから始まっている。

人生の多くの時間を過ごす学校や職場は、楽しい組織であってほしい。自由に意見やアイデアが出せて、わくわくした楽しさがあることこそが、組織の改善・発展につながる。なぜなら、人は、楽しく「フロー」の状態にあれば、すべてを肯定し、前に向かうエネルギーを利他的に発揮するからである。

変化の激しい時代、人々が集い、学びあうためのちょっとした工夫があるかないかが、組織のイノベーションの命運を握るといっても過言ではないであろう。

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