(円卓)ランチの話

神田外語大学理事長 佐野元泰

 

最近、海外視察で、あることを感じる。どの国もランチのコストが日本に比べて相対的に高い。欧米圏では日本円で普通に2千円相当はかかるし、アジア圏でも安いと思えることが少なくなった。逆に日本の300円台の牛丼など、アジア相場でもかなり安い部類に入ってくるのかもしれない。日本は他のアジアの国々と比べると物価は高く、給与面や生活水準などに差があり、まだまだ対等ではないと考えていたが、果たしてそうなのだろうか。疑問に感じた。

私たち神田外語大学は、英語を基本としながらも、日本を取り巻く環太平洋の国々の言語を学べる環境を用意している。アジア言語は、中国語、韓国語、インドネシア語、ベトナム語、タイ語を専攻語としている。そしてこれらの国々から交換留学生を受け入れている。個人差があるのは当然で、最近では母国からの仕送りが少なく生活のために厳しいアルバイト生活と勉学を両立させなくてはならない学生は、減ってきている。

このような状況を裏付けるように、朝日新聞6月5日付GLOBEでは「給料の話」として、日本の賃金水準が海外に比べて相対的に落ちてきているとある。中韓を含めアジアの国々がどんどん力をつけ、日本よりも高い平均給与を払う業種が出てきているという。

冒頭に戻るが、海外の大学を視察して街に出ると、その活気にはっとさせられる場合がある。社会はもっとよくなる、皆で一緒に成長していこうという情熱を、街が放っている。この熱気を日本の若者がうまく生かせないものだろうか。
その中で、本学タイ語専攻卒業生でタイの日系企業で働く佐藤洋平君の言葉が、心に響く。

「私は語学が使いたくてタイでの仕事を選んだのではないんです。タイ語のできる自分が行けば、きっと責任のある仕事を任せてもらえる。私は、28歳なのですが、日本で働けばまだ平社員もしくは主任程度の仕事しか任せてもらえないと思うんですよ。ただ、ここで働いたら、もう管理職、そして工場の運営一つ任せてもらえています。ビジネスを学ぶことができ、タイという国、そして自分自身がどんどん成長していくことが感じられる。これが世界を相手に働くということではないでしょうか」
これからも、このような学生を育てられる大学でありたい。

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