(円卓)特別支援教育の課題

東京教師養成塾教授 國分重隆

 

今年4月、障害者差別解消法が施行され、いよいよ学校教育の中での特別支援教育が一つの方向性をもって行っていけることになりました。教育現場でもインクルーシブ教育という言葉が使われる頻度が多くなりました。

東京都でも、通級指導学級にかわり、拠点校から各学校へ教員を派遣する「特別支援教室」のシステムが実施されることになりました。

一方で心配なこともあります。それは、通常の学級における特別支援教育が、子どもやその保護者の願いにどこまで答えられるかということです。前述の「特別支援教室」には対象の制限があり、たいてい通級指導学級程度の軽度の障害のある児童が対象になります。

文科省は、「通常の学級の中における特別支援教育は、その実態において指導内容や指導方法を工夫すること」といっています。就学時にさまざまな検査や情報に基づき、特別支援学級や特別支援学校が妥当と判断されたとしても、教育委員会や学校は、保護者の要望があれば通常の学級の中で、その子に応じた「合理的配慮」を行わなければならないのです。

しかしながら、今年度の特別支援教育の充実にかける予算もたったの156億円。都道府県と市区町村で、その充実のために予算を当てたとしても、たかがしれています。

文科省の「特別支援教育の在り方に関する特別委員会の報告」では、「合理的配慮に向けては、本人や保護者、学校の設置者や学校との間で、合意形成を丁寧に行うこと。しかし、体制面や制度面で均衡を失した、または過度の負担を課さないこと」とあります。「合理的配慮」も、「体制や制度上の難しさや過度の負担」も、学校や対象となる児童の障害や保護者の思いによって異なります。

学校が障害のある子どもと障害のない子どもが共に成長できるよい環境を作りたいと思っていても、予算も含め、学校をしっかりと支える自治体の姿勢がなければ実現できません。

また通常の学級の担任のほとんどに特別支援教育の専門性はありませんが、受け入れた以上は、その子にも学校教育の成果を上げるためにと精一杯働いています。入学後の専門的な人的支援や施設面の改善の不十分さに苦悩している担任や学校の現状は、過度の負担とはいわないのでしょうか。

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