(円卓)ハイブリッド型で

岐阜大学准教授 柳沼良太

 

教育改革の大きなうねりがある。一方は、教師が主導で基礎・基本となる知識や技能を子どもたちに習得させて、確かな学力や道徳性を身に付けさせようとする守旧的な動向である。他方は、子どもが中心となって考え議論しながら問題を解決する能力を高めようとする進歩的な動向である。

次期の学習指導要領では、前者のように知識内容の習得を目指すコンテンツ・ベースの授業から、後者のように資質・能力の育成を目指すコンピテンシー・ベースの授業へと質的転換を図り、子どもが主体的・能動的・協働的に学ぶアクティブ・ラーニングを全面的に取り入れようとしている。

「特別の教科」となった道徳でも、従来のように登場人物の心情を理解させて道徳的価値を理解させる古い授業から、子どもが道徳上の問題を考え議論する新しい授業へと質的転換が図られている。

学校現場では、こうした新旧の指導法が対立して、改革を頓挫させることもある。守旧派は、学力低下や道徳的混乱を避けるために、従来通り知識理解を教育の本質と見なし、その改革に抵抗しようとする。それに対して、進歩派は、子どもたちが主体的に学び考え判断し、他者と協働して探究する学習こそ教育の本流と考え、問題解決学習や体験学習などを積極的に取り入れようとする。

この種のことは、昔から経験主義と系統主義の対立、つめ込み教育とゆとり教育の対立のような形で繰り返されてきた。

ただ、現在はそうした不毛な対立を乗り越え、両者のよさを組み込んだハイブリッド型の指導法が目指されている。双方の指導方法は決して矛盾・対立するわけではなく、相互補完的な関係でもあるため、よりよいバランスをとるのが大事なのである。

変動が激しく先の見えにくい現代社会においては、旧態依然とした知識や技能を子どもに教え込むだけでは済まないが、ただ皆で考え議論すればよいものでもない。子どもたちがよりよく生きるためには、有意義な知識や技能を確実に習得した上で、それらを有効に活用して諸問題を解決する力を養い、生きて働く資質・能力としての学力や道徳性を育成すべきである。

両者をダイナミックに組み合わせ、多様で質の高い教育が広く展開されることを期待したい。

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