(円卓)持続可能なESDに

奈良教育大学名誉教授 長友恒人

 

先日、ESD学会設立の相談会が持たれ、来春の設立に向けて、準備を進めることとなった。

SD(持続可能な開発)の理念と実践は、72年のストックホルム会議(国連人間環境会議)に端を発するとされる。

学校教育のなかで本格的に取り上げられるようになったのは、2002年のヨハネスブルク・サミットを経て、05年に始まったDESD(国連持続可能な開発のための10年)からであろう。

周知のように、わが国では、学校教育におけるESDは、ユネスコスクールを中心に実施するとされたことにより、DESDの期間に急速にユネスコスクール認定校が増加した。現在では、世界のユネスコスクールの約10分の1が日本の学校となっている。

DESDの10年間でESDの実践事例が蓄積され、ユネスコスクール全国大会や地域の事例報告会などでその交流がなされている。

ESDの理念は現行学習指導要領でも取り入れられてはいるが、いくつかの教科のなかで個別的に取り上げられている程度にとどまっていると理解する方が適切であろう。

次期学習指導要領に向けた改訂作業は現在進行中であるが、ESDの概念がより前面に取り上げられ、「持続可能な社会づくり」という用語が教育課程や教科等においてもより明確に使われている。

これによって、ESDに取り組む学校はさらに増加すると考えられるが、元来、多様な発想に基づいて展開されるべきESDがマニュアル化されて形式的に流れてしまうのではないかとも危惧される。

世界的には、国連のGAP(グローバル・アクション・プログラム)やSDGs(持続可能な開発のための2030アジェンダ)がDESD終了後のESDの方向性を示している。わが国においてESDを文字通り持続的に発展する取り組みにするためには、実践事例の交流にとどまらず、ESDを巡る世界の動向を知ること、自身の実践を相対化して特色や欠点を確認できること等による教員の力量アップも必要であろう。

教員養成と現職教員研修にESDを取り入れることや実践と研究の往還(実践を踏まえた研究とその成果の現場への還元)も必要とされている。研究者と実践者が協働するESDに関する研究の場(学会)が必要とされるゆえんである。

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