(円卓)「人」と「組織」

横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校長 栗原峰夫

 

8月下旬に開催された日本修学旅行協会主催の「教育旅行シンポジウム」に、パネリストとして発言する機会を得た。

シンポジウムのテーマは「訪日教育旅行の進展に向け、受け入れ態勢をいかに整えるか」だった。訪日外客数が急増する中で、訪日教育旅行はそれほど増加していないとの現状認識からスタートした。

日本政府観光局(JNTO)からは「2020年までに訪日教育旅行者の受け入れを2013年比5割増の6万人とする」政府目標の話があった。

学校、自治体、そして旅行会社の立場から登壇した5人のパネリストによる議論の詳細については、別の機会に確かめていただくとして、ここでは、公立高校、ただし、海外からの訪問団を受ける機会が決して少なくない高校の現状について伝えたい。

受け入れ態勢を整える条件で最も大切なのは「人」である。語学力、国際感覚、問題解決力、リーダーシップのすべてを身につけた教員は、校内でも貴重な存在であり、当然負担は大きくなる。その軽減のため、校務分掌にサイエンス・グローバル事務局を立ち上げ、「組織」で対応するとともに、その中で次を担う人も育てている。特に、公立校には人事異動の制度があり、このことも前提にして「組織」を作り上げておかなければならない。

英語科の教員に頼らざるをえない状況は本校でも変わらないが、受け入れという経験を経て、中堅、若手、教科を問わず、国際交流の現場に踏み出そうとする意欲的な教員は、確実に増えている。そして、彼らが本校のグローバル化を促進する役割を果たしてくれている。

国際情勢の変化や感染症の問題もあり、海外修学旅行は伸び悩みの状況にあるという。しかし、本校では2年次生全員によるマレーシア研修のほか、カナダ姉妹校交流、SSHおよびSGH事業による海外研修を複数回設け、海外での体験を重んじている。

それぞれの企画、運営を支えるのが、受け入れの中心を担った「人」であり、「組織」である。

ニーズを確かめ、違いを認め合い、思いやるといった受け入れの経験が生きて、海外での研修、交流が継続、発展するとともに、確実に一つひとつの質を高めることができている。

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