(円卓)学習支援と学校教育

特定非営利活動法人キッズドア理事長 渡辺由美子

 

キッズドアは、平成22年から、低所得世帯の子供たちへの無料の学習会を行っている。東京都新宿区で企業が提供してくださる会議室を日曜日に借り、中学校3年生に高校受験対策を行ったのが始まりである。

今年度は、東京、宮城で大小約40教室を運営している。

日本でも「子供の貧困」に対して、社会の認知は少しずつ上がってきたが、まだまだその実態は知られていない。日本のような先進国では「相対的貧困」という、その国の生活レベルの中で捉えるので、他のアジアの国やアフリカのような「絶対的貧困」で、ろくにご飯が食べられず、今にも死にそうな子供を想像すると、「どこにそんな子供がいるの?」と思われる方もいるだろう。

見た目ではわかりづらい「日本の子供の貧困」も、一歩踏み込んで生活内部を見てみると、そこにはさまざまな厳しさがある。日本の特徴は、保護者のワーキングプアである。働かないから所得が低いのではなく、パートや非正規雇用のため、低賃金長時間労働でがんばっていらっしゃる方が多い。気持ちはあっても、子供のこと、勉強のことになかなか手が回らない。

しかし、学校現場で見られる姿は、宿題をやらない子、忘れ物の多い子、提出物を出さない子、遅刻や欠席の多い子など、よくないレッテルを貼られがちである。家が狭く、自分の勉強机もない場合は、落ち着いて宿題をやる場所の確保が難しい。

調べ学習の宿題は、家にパソコンがなければできない場合がある。明日の持ち物に、三角定規やコンパス、エプロンと三角巾と言われても、家になければ持っていけない。夜遅く帰ってきた親に言っても、買いに行くことはできないし、手持ちの現金がそれほどない家もあるかもしれない。

長らく一億総中流意識で、皆同じ生活レベルと思っているのだが、実はその前提が大きく崩れている。しかし、学校現場では頑なに、すべての子供に「平等」に教え、保護者には「平等」な負担を前提としている。九九ができるまで家で暗唱させる余裕がない家庭に「暗唱確認カード」を押し付けるのではなく、子供の状況を見ながら、学校でも必要な支援をできるようになるとよいと思う。

そのためにはまず、私たち保護者が「平等」について考える機会を作りたい。

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