(円卓)働くことを考える

群馬県総合教育センター所長 岡島美智子

 

先日、大学4年生240人に「働くことについて考える」の題で講義してほしいと依頼された。日頃お世話になっているお礼も込め、依頼を受けた。さて副題はどうするかと悩み、「新しい環境と人間関係の中へ」とした。

学生は、どんな話を期待しているのだろうか、どんな話なら関心を持って聞いてもらえるのか等考えあぐねたが、結局、頭に浮かんだキーワードを基に構成した。夢と希望・教育の目的・キャリア教育・社会人基礎力・幸せな人生・生きる・コミュニケーション能力等のキーワードを含む話題を並べながら、90分の講義を進めた。

途中いくつかの質問をしながら学生にマイクを向け、本音も聞いた。その一つは「皆さんは、社会に出るために必要な力を持っていますか」。学生の表情は一瞬硬くなり、不安そうにも自信に満ちた表情にもとれた。

聞いてみると、行動力・協調性・コミュニケーション能力・責任感・専門性などと返ってきた。1人の男子学生がこう答えた。「ストレスをかわす力」と。私は思わず、こんな答えを返してくる学生がいるのが嬉しくなり、「素晴らしいですね」と学生の顔を見ながらコメントした。

階段教室に礼儀正しく座る4年生は、私たち教育に携わる人間にとって完成形とも丹精込めて創り上げた作品ともいえる存在に思えた。日頃初任者研修で目にする教員とはどこか違うと感じるのは不思議である。年齢はほぼ1歳しか違わないのに。まだ教育を受けている若者と社会に一歩踏み出した若者の違いだろうか。働くことを頭の中で考えている学生と現に社会に出て働くことの大きさを意識させられた初任者との違いからだろうか。

この講義の中で教育基本法第1条にある教育の目的を示し、「皆さんは、完成された人格と社会の形成者としての資質を備えているのです」と伝えた。またキャリア教育が目的としている「自分らしい生き方を実現するための力を身に付けているのです」と加えた。

予測することすら困難なこれからの時代、社会に飛び出そうとしている若者たちに愉しくも幸せな人生を送ってほしいと思わずにはいられない。最後にこんな言葉を贈った。

「働くとは幸せに生きることです。幼いときに思い描いた夢や希望を現い在まの姿に描きなおし、素晴らしい社会人としての人生をスタートさせてください」と。

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