(円卓)学びの地図

国立教育政策研究所教育課程調査官 濵野清

 

中央教育審議会における次期学習指導要領に向けての議論が深まり、「審議のまとめ」としてその基本的な方向性が示されるに至った。そこでは育成を目指す資質・能力を、「学力の三要素」を出発点に、改めて学習者の視点に立って整理しようとしている。

「何を理解しているか、何ができるか」「理解していること・できることをどう使うか」「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」の三つの柱を示し、それに沿って各教科等の在り方を検討するよう求めている。

長年、教科教育に携わってきた者としては、教科の内容を教えることに力点を置き、ややもするとそれをどう受け取るかという学び手の視点を欠いていたようにも思われる。

その意味で、「学びの地図」として学習指導要領の枠組みを見直すことは、それを基に授業を作り上げる学校や教員にとっても、学びの主客を改めて問い直し、その指導観の転換や授業展開上の創意工夫を求めるものとなる。

すなわち、各教科等での学びが、子供たち一人ひとりのキャリア形成などにどのようにつながっているのかを見据えながら、なぜ学ぶのか、それを通じてどういった力が身に付くのかという、教科等を学ぶ本質的な意義の明確化がカギとなる。例えば、社会科においては、個別的な知識の習得以上に、現代社会を正しく認識するための社会科ならではの見方・考え方を培うとともに、それに基づく子供たちによる持続可能な社会づくりや、よりよい人生の創造に資することがその要件となる。

今後、順次、学習指導要領およびその解説が示されてこようが、そこでは、学校教育を通じて子供たちが身に付けるべき資質・能力や学ぶべき内容などを、総則を紐帯に学校種、教科等の有機的なつながりをもって俯瞰する「学びの地図」として描くことが期待されている。 

今後各校においては、その大綱的な「地図」から適切にその趣旨を読み取り、子供たちを主体に「何ができるようになるのか」という観点から、資質・能力を整理する必要がある。

その上で、整理した資質・能力を育成するために「何を学ぶのか」「どのように学ぶのか」という子供たちの具体的な学びの姿を想像しながら、日々の授業における具体の「地図」を創造したい。

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