(円卓)この街に誇りをもって

元全国小学校道徳教育研究会会長 馬場喜久雄

 

「この街で生まれ この街で育ち この街で出会いました この街であなたと」。フォー・セインツが数年前に歌った『この街で』(作詞・新井満)。私は道徳の講演をするとき、いつもこの曲をかける。私の道徳のテーマである。

この街を大事にしようとする心から挨拶を爽やかに交わす街ができる。きれいにしようとする心からごみ一つない街になる。この街を愛するから思いやりにあふれた街になる。

先日、三重県桑名市の小学校で「小さな親切運動紙芝居授業推進委員」として授業をした。「まつりの日」というお話で、津波を受けた街が祭りを盛り上げて元気にさせようという復興がテーマ。子供たちにまず街の良さを聞いた。「お祭りとハマグリ」が出てきた。さすがと思ったが、実は桑名のハマグリは何十年も前、壊滅状態だった。取りすぎである。大人たちはがんばり、復活したのである。子供たちの故郷のよさに祭りとハマグリが出てきたのにも、大人たちの故郷への思いが伝わっていたのである。

続いて秋田県鹿角市に行った。パナソニック教育財団こころを育む総合フォーラム全国キャンラバンが11月19日に開かれ、パネリストとして出るので、子供たちの活動の様子を見たり他のパネリストとの打ち合わせがあったりでうかがった。街の案内をする中学生の目は輝いていた。自分たちの街のよさを観光客に案内するのが学習である。自分の街を愛しているのだなとひしひしと感じた。

東日本大震災の数カ月後、シンガポールの青年と岩手県宮古市の田老第三小学校に子供たちを元気付けようと行った。私たちが子供たちの似顔絵を描いたり話をしたりするまでに時間があったので校長先生が案内してくれた。大変なところではなく、すごくきれいな岬だった。この街をいつまでも大事にしたいから復活させるんだという意気込みである。

小さな親切運動の紙芝居は「つなみの日」で、「助け合う大切さ、役割を果たす大切さ」をテーマに、方々の学校を回った。今年から新作の「まつりの日」に代わり、「街に誇りをもつ大切さや、友情」をテーマに授業を行っている。

子供たちの心に耳を傾けながら、紙芝居を通して、自分の街を大切にする心を育んでいきたい。それが、地震と津波で打撃を受けた街の復興につながると思うからである。

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