(円卓)民主主義と教育立国

元全国連合小学校長会長 角田 元良

 

英国のEU離脱を問う国民投票後、指導者に異変が現れてきた。共通点は、選挙によって起こった民意の結果ということである。30年以上前、これからの社会は「予測できない時代である」と先人から言われた。しかし、それがどういう時代なのか、思い描けなかった。

東西を隔つ壁が崩壊し、日本では証券会社の倒産、一流銀行の合併が続いた。さらに、米国大企業の倒産などによる世界同時不況。これが、先人の「予測できない社会」だったかと思った。ところが、事態はさらに進展。今、民主主義先進国の指導者の選出に変化が起こり始めた。そして、ついに世界のリーダーたる米国に、驚異の交代劇が起こった。

わが国に、その兆候はないか。各都府県の首長の変化、その変化と教育の関わりはどうか。教育総合会議という名の教育行政の変化。それは教育委員会制度の変化であり、住民により選ばれた首長が教育の権限を持つという、民意尊重の現れである。

学校は、校長が教育課程を編成する。それは、校長が学校の責任者だからであり、それが現行の法律だからである。

今、コミュニティ・スクールが全国に増えつつある。日本のそれは、大部分の地域で、校長の権限が尊重され、教育課程の編成、校務分掌や校内人事権は、校長にある。しかし、海外はどうか。

アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどでは、校長からして、学校運営協議会により選定されている。地域住民に選ばれた委員が権限を持っている。日本でも、いじめ・自死、自然災害などの事故を、第三者委員会が審議・賠償請求し、それを契機に法改定に進む事案が目立ち始めた。

今、大きな潮流の変化の時かもしれない。PISAの結果では、V字回復。日本の研修システムが海外で賞賛され、教師の力量が評価されている、と教育再生実行会議の提言は褒めている。しかし、超勤は相変わらず、定数改善は検討課題として先送りされる。

ノベール賞受賞の大隅先生の「基礎研究が大事」との発言も、「しっかり検討したい」といなされてしまう。真の教育立国になるための投資を惜しんではならない。経済は大事だが、使い道を誤ると、予測不能の巨大なツケが返ってくる。国の基いの見極めを誤ってはならない。

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