(円卓)年賀状雑感

帝京大学教職大学院教授 向山行雄

 

年の暮れ、喪中欠礼が届く。年々数が多くなる。12月4日現在で39通にもなった。物故者の大多数は高齢の親。その中に伴侶の逝去や本人の死を知らせる妻君からの挨拶も交じる。知人たちに訪れた不幸に、胸が痛む。

クリスマスが近づくと、年賀状準備のために重い腰を上げる。600通の年賀状を仕上げるには、相応の時間と根気が必要だ。年賀状には原則として一言添える。裏表の印刷では礼を失すると思い、ペンを走らせるのだが、枚数が多いので、かなりの時間を使う。

先日、郵便の会議の後、居酒屋で年賀状談義になった。若手のA教授は300枚。私は自慢げに600枚と述べたら、B学長は900枚。世の中、上があるものだ。

郵便の会議とは、平成22年度から日本郵便が始めた、小学校を対象にした「手紙の書き方体験授業」に関わる。参加校は全国の学校に広がりつつある。毎年「はがきでコミュニケーション全国大会」も実施しており、私は最終審査員を務めている。

近年の年賀状を巡る調査では、子供たちの賀詞交換は、年賀状からメールに移行しつつある。6年生で自分の住所を言えぬ児童は19・6%、郵便番号を知らないは35・4%である。

「体験授業」は、子供たちの郵便離れを食い止めるために立ち上げられた。「全国大会」のはがきコンクールでは、総務大臣賞や文科大臣賞の選考に当たっている。毎回、子供たちの作品に感銘を受ける。

全国の郵便局は公立小学校の数を若干上回る。各地の郵便局では、学校への働きかけを積極的に行っている。

次期学習指導要領では、「社会に開かれた教育課程」を進める。郵便を通して、これまで以上に、子供たちが社会と関わりを持てたらいいなと思う。

100歳以上のお年寄りは、平均1小学校区に3人いる。各小学校の3年生がその方たちに手紙を出す「百歳プロジェクト」があれば、いくつかの感動場面がきっと生まれる。

私の義母は95歳。100歳の祝いに地元の小学生から手紙を受け取ったら、きっと長生きをしてよかったと思うに違いない。

元旦。50歳を過ぎた教え子からの年賀状や、小学生からの年賀状に目を通す。屠蘇気分で年賀状を眺めるとき、教師冥利を実感する。
(全国連合小学校長会顧問)

あなたへのお薦め

 
特集