(円卓)学校・楽校・合校

元全国連合小学校長会会長 西村佐二

 

学校現場を離れて十数年。手元の『教育の最新事情が分かる本3』(教育開発研究所)を読み、変わりつつある学校教育の状況の、知らないことの多さに驚く。

これでは、今、私に学校へ戻れと言われても、恐らく、浦島太郎よろしく、大きな戸惑いを感じたまま教師を全うせず終わるに違いないとつくづく思う。

ところで、教育改革は、課題解決と今後の教育の充実を目指してなされるものだが、学校はその改革実現に追われ、各校の課題にじっくり向き合う状況にないのではないか。

小学校を例にすれば、ここ10年ほど(平成15年度~25年度)で、児童数は約55万人、学校数は約2500校も減っているにもかかわらず、いじめの発生件数は、単純に比較できないものの、15年度の18.6倍の約11万9千件と、極めて深刻な状況にある。

不登校にあっても、その出現率は0.35%前後を推移。暴力行為にあっては、15年度の0.2%から徐々に増え続け、25年度に1.6%、26年度には1.7%と急激な伸びを示している。

一方、教職員にあっては、年々、多忙になったという声を聞く場合が多く、保護者などの対応に困惑し、病気になる教員も増えてきているという。

そういえば先日、『なぜあの保護者は土下座させたいのか 謝罪事件から見えた新モンスターペアレント問題』(関根眞一著・教育開発研究所)を読んで、保護者のクレームもいよいよここまで来たかと、唖然としたことであった。

こうした学校の状況を変えるためには、何事も抱え込むという学校の体質から脱皮して、学校の役割を改めて問い直し、学校が精神的なゆとりを持つことであり、そのことが、充実した楽しい学校を取り戻すことにつながる。

以前、経済同友会が「学校から「合校」へ―学校も家庭も地域も自らの役割と責任を自覚し、知恵と力を出し合い、新しい学び育つ場をつくろう」として、学校のスリム化を目指し、学校を「学校」(基礎・基本教室)、「体験教室」、「自由教室」に分ける新しい学校の在り方を提言したことがあった。

20年も前のこの提言は、当時、大きな話題にならないまま終わったが、学校の精神的なゆとりが求められる今日、本提言を改めて読み直すのも、意味あることではないかと思われる。

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