(円卓)若手が若手を育成

帝京科学大学こども学部教授 釼持勉

 

大都市圏を中心に若手教員が大量採用されて久しい。大量退職の実情と合わせ、学校で教員が学ぶ文化をどう継承していくかが大きな課題となっている。

2年目、3年目でやむなく退職する教員も少なくない。各行政では多様な制度を活用して学校の中での育成に取り組むようになり、その必要性も声高に叫ばれるようになった。だが筆者は「若手が若手を育成する時代」になるのを15年ほど前から指摘し、管理職や指導教員がなすべき内容を、多様な機会を通して啓発してきた。

年間170回の初任者研修を実施してきた経験から見て、「組織として」が強調されながらも、現場では依然として実態が伴っていないのではないかと危惧している。

過日、都内の副校長会ブロック研究発表会で講師を務めた。研究発表に、管理職としての多忙さを主幹や主任と分担して削減し、若手育成の時間を確保したとの実践があった。若手の育成を最優先する指導・助言システムができていないのが実情だと再認識した。

教員養成系大学は教員としてふさわしい資質を現場感覚で指導しておらず、行政は学校の主体性に任せて折々の研修会で共通理解を図りチェック機能を中心にしているものになり、学校には指導教員任せにしている実態がある。現場では「若手が若手を育成する」ことに疑問符がつきかねない実情ではないか。

若手教員の資質が高まっていないという現状を認識した上で、2年目までに若手教員が身に付けるべき資質・内容および学級担任としてのビジョンを明確にすることが重要になるだろう。そして、教師の力量を高める手立てを進める中で、学級担任力を付けるためのより具体的なレベルでの指導・助言があってこそ、若手が伸びると判断している。

教員として感性豊かでセンスのある若手はたくさんいる。その芽を育ててこそ「若手が若手を育成する時代」になる。新年度を間近に、学校としてどう育成していくのかを明確にし、細部にわたって時期を見逃さずに指導・助言に取り組んでほしい。何よりも自立・自律できる教員を育成してもらいたい。若手教員には既にスタートラインに立っている自覚と認識を持ってもらいたい。若手が多くなる中で学校は、若手を支援し、若手が若手を育成する時代に突入している認識を深めてもらいたい。

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