(円卓)グローバル人材の石垣

科学ジャーナリスト 相良邦夫

 

NHKの大河ドラマの舞台は、戦国時代が多い。人気のある武将は武田信玄のようだ。不安な時代に人を大事にした彼の「人は石垣、人は城」という名文句が、記憶に残る。

幾星霜の時代が流れゆき、グローバル化が加速し、国際競争の過熱する世界で、各国が血眼なのが、国を超えた人材の獲得競争である。

各国とも、国内のグローバル人材の育成だけでなく、世界的規模で互いに優秀な外国人留学生の獲得に、しのぎを削る。

日本政府も、「日本再興戦略」と第2期教育振興基本計画で、2020年までに外国人留学生を30万人受け入れる目標を目指す。それでも2015年5月現在、約20万8400人に留まっている。その中で、最も寄与している国が、約9万4100人の中国である。

その中国が2020年までに目指す、外国人留学生の受け入れ数は、日本より多い50万人だ。日本の海外への留学生数はアメリカ約1万9300人、中国1万7200人、台湾5800人の順だ(2013年統計)。

今や、国同士の緊張を和らげ、仲良くするには、若い人同士の対話と交流が、物流や金融の取り引き以上に重要な時代を迎えた。

上智大学では、中国人の留学生会(安星会長)が昨年12月、早稲田大学の西原春夫第12代元総長を招き、「平和なアジア秩序形成に向けて」と題する講演会を開いた。両大学は、グローバル人材を育成する文科省のスーパーグローバル大学37校の中に選ばれている。

この講演会では、約100人に上る中国人留学生たちが熱心に耳を傾けた。

西原氏は「歴史には法則性がある」と前置きし、資源を軍事力で奪う植民地・帝国主義→第一次世界大戦→不戦条約、さらに第二次世界大戦→国連憲章、日本国憲法という流れを示した。

その上で、西原氏は「国際紛争を武力で解決しないという基本的な考え方が歴史の本流である」と説き、「日本はこの本流に逆らい、第二次世界大戦に敗戦した。もし中国が軍事力を背景に勢力を拡大するなら、かつての日本のような歴史の逆流を歩むことになるかもしれない」と語った。

アジア平和貢献センターの理事長を務める西原元総長は、中国を含む東アジアの国際ルールづくりに奔走している。

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