(円卓)未来型学力への転換

東京都江東区立八名川小学校長 手島利夫

 

政治も経済も科学技術も、全てが激変する時代を迎えている。人の生き方も働き方も大きく変わろうとしている。世界中の最新知識がすぐに集まる時代に、どんな教育が求められるのだろうか。その答えが、今回の学習指導要領改訂にある。

整然と並んだ指導内容を通して、過去の知識を分かりやすく学ばせる学習指導要領から、変化の激しい時代を生き抜くための思考・判断・実践力を育む未来指向型教育への大転換が進められようとしている。だから主体的・協働的に学ぶアクティブ・ラーニングが求められ、環境・人権・国際理解等の視点から学びを統合するカリキュラム・マネジメントが必要になるのだ。

2030年の未来を創るために必要な資質・能力を全ての教育活動を通じて育成し、困難な課題にも立ち向かい、多様な人々と力を合わせて解決し、より良い未来を創ろうと行動する子供を育成しなくてはならない。それゆえの入試改革でなくてはならない。今までの学力だけでは通用しない世界なのである。中学校も高校も、受験を言い訳にしているときではない。指導観や教育観を変えられない教員は不要である。

全ての教育関係者・ジャーナリストが、学びを本質的に変えない限り、日本に未来は無いという危機感を持って、学習指導要領の改訂を受け止め、未来型学力への転換を全国民に伝えよう。道徳も、英語も、アクティブ・ラーニングも、それだけでは枝葉の内容である。枝葉に囚われず、教育改革の本質に立ち向かう勇気と決意、それを国民に示す姿勢と努力が、文科省、全教委、全ジャーナリストに、今求められているのである。

文科省は、優れた学習指導要領をまとめるまでが自分たちの責任だと思っているのではなかろうか。目には見えにくい改訂の本質をジャーナリストや国民に分かりやすく伝え、全ての学校教育を変えるまでが、あなた方の責任と考えてほしい。それを怠ると前回の改訂時のように、「円周率を3・14で教えないのはなぜか」などというくだらない方向の議論になったり、「ゆとり教育」などと的外れの誤解が広がったりするのである。

知識伝達型から真理探究型へ、ドリル型からプレゼン型へ、過去型学力から未来型学力へ、今回の改訂で教育のあり方を大きく変えていこう。これは日本のチャンスなのだ。

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